『[新版]国土が日本人の謎を解く』大石久和(産経新聞出版)新書
2022年1月20日第1刷発行
251頁
目次(収録作品)
序章 「日本人」は何を経験し何を経験しなかったか
第1章 歴史を動かした国土と災害・飢饉
第2章 なぜ「日本人」は生まれたのか
第3章 なぜ日本人は世界の残酷さを理解できないか
第4章 なぜ日本人は権力を嫌うのか
第5章 なぜ日本人は中国人とここまで違うのか
第6章 なぜ日本人には長期戦略がないと言われるか
第7章 なぜ日本人はグローバル化の中で彷徨っているか
著者は、元国交省技監。
本書は「国土」の視点からの日本論。
我が国の気候や地形、災害の経験などから形成されたであろう日本人の特徴を西洋や中国などと比較して論じる。
筆者は、昔からの我が国のインフラ事業などをある程度学問的に論じた内容だと思って本書を手にとったが、そういった内容ではない。
悪くはない本。ただ、日本人論によくある論拠がない、印象論が散見されるのが気になった。一例を挙げれば、日本では人称が多様だが、英語ではI、YOUしかない「この人称の多様性は、われわれ日本人が理性や論理の民ではなく、情緒と感情の民であることの証明でもある。」(p.178)。
我が国の「危機想定」の甘さを指摘したは箇所(p.193-p.195)は重要。
[筆者注]
(p.223)
〔⑧対日年次改革要望書
(略)
「民間の保険会社と官は競合してはならない」との要求を突き付けてきた。〕
この表現だと分かりにくい。「郵政省のような政府機関が、民間保険会社と直接競合する保険業務に携わることを禁止する」よう要求した。
(p.243)
〔フランスのアンジュー家、フランスのテューダー家、(略)〕
テューダー家は、フランスではないだろう。テューダー朝は、イングランド王国およびアイルランド王国の王朝。
(Wikipedia テューダー朝)