『法の支配―オーストリア学派の自由論と国家論』阪本昌成(勁草書房)
2006年
258頁
目次(収録作品)
序章 自由の哲学
──政治哲学と道徳哲学
第1章 何が問われるべきか
──現代国家の病理
第1節 政治哲学上の原理を欠いていた「福祉国家」
第2節 現代国家のパラドックス
第3節 本書の戦略とその展開
第2章 いかに問うべきか
──方法論と基本的な用語
第1節 ふたつの社会哲学:合理主義か、批判的合理主義か
第2節 ふたつの方法論:方法論的個人主義か、方法論的集団主義か
第3節 「国家/市民社会」概念とその捉え方
第4節 「法」概念とその捉え方
第3章 オーストリア学派の描く人間像
──人間の本性と行為の捉え方
第1節 経済学の描く合理的人間像
第2節 オーストリア学派における人間像
第3節 主観主義的接近法による「個人と国家」
第4節 個人主義
第4章 自由概念とその捉え方
──修正主義的リベラリズムか、古典的リベラリズムか
第1節 修正主義的リベラリズムと自由概念
第2節 リベラリズムの哲学
第3節 ふたつの自由論のなかの古典的リベラリズム
第5章 自由と競争の再定義
──闘争か、協調か
第1節 市場の機能と人間の知識
第2節 市場と政治体制の選択
第3節 市場の限界
第6章 「法の支配」
──形式か、実質か
第1節 何が問われるべきか
第2節 啓蒙思想における形式的アプローチの原型:ホッブズからスミスへ
第3節 「法の支配」の衰退?
第4節 市場のルールの属性と「法の支配」
第5節 一般化可能性定式としての「法の支配」理論
終章 リベラリズム─「法の支配」─市場
──脱実質的正義論にむけて
「法の支配」を実体的自然法思想から解き放ち、オーストリア学派の社会哲学をもとに、その輪郭を陰画のごとくに描き出す。
社会科学の課題は、財の希少性をめぐる人間の行為の特徴を剔りだしながら法・正義・自由・国家・市民社会等の概念を研ぎ澄ませることにある。市場のルールこそ財の希少性問題と人間の行為を調整しているとするハイエクらの理論の導きのもと、基本概念の再検討から「法の支配」の脱実質的・脱目的的論拠づけを試みる、超憲法哲学書。
出典:勁草書房公式サイト