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『寛容について』マイケル・ウォルツァー(みすず書房)

『寛容について』マイケル・ウォルツァー、大川正彦訳(みすず書房)

新装版2020年
224頁




目次(収録作品)

序論 寛容についてどのように書くか

第1章 個人の態度と政治制度

第2章 五つの寛容体制
 多民族帝国
 国際社会
 多極共存・連合(コンソシエーション)
 国民国家(ネーション・ステート)
 移民社会
 要約

第3章 複雑な事例
 フランス
 イスラエル
 カナダ
 ヨーロッパ共同体

第4章 実践的な係争点
 権力
 階級
 ジェンダー
 宗教
 教育
 市民宗教
 不寛容な者を寛容にあつかう

第5章 近代の寛容とポストモダンの寛容
 近代のプロジェクト
 ポストモダニティ?

終章 アメリカ多文化主義への省察

「わたしの主題は寛容である。もうすこしうまくいえば、たがいに異なる歴史・文化・アイデンティティをもつ人びとの集団の平和共存、である。」
本書は、現代アメリカのもっとも著名な政治理論家が、多文化主義社会における寛容とは何かを、簡潔でエレガントに論じた好著である。ウォルツァーはまず、多民族帝国、国際社会、多極共存・連合、国民国家、移民社会という、五つの異なる政治編制における寛容のあり方を歴史的に俯瞰し、こうした政治編制が内包しているさまざまな集団間の差異——権力、階級、ジェンダー、宗教、人種、エスニシティ——を、具体的に検討していく。
寛容は差異を可能にし、差異は寛容を必要不可欠なものにする。ポストモダンの多元社会は、集団よりも個人の自由と自己決定を優先する傾向をもつ。だが「集団のコミットメントが崩壊したとしたら、いったい個人は何から逃れるというのだろうか。」近代性は個人と集団とのあいだの永続的な緊張を欠かすことができない。
多元社会における寛容とは、個人の行動を動機づける普遍的な原理ではなく、さまざまな社会集団の差異を折衝するための政治的な実践として考察される。現代の政治理論への入門書としても最適な一冊である。

出典:みすず書房公式サイト


[関連]
『寛容について』マイケル・ウォルツァー、大川正彦訳(2003・みすず書房)定価:3,080円(税込)
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