『功利主義は生き残るか―経済倫理学の構築に向けて』松嶋敦茂(勁草書房)
オンデマンド版2019年
264頁
定価:4,070円(税込)
目次(収録作品)
序章 功利主義は経済倫理学の原理となりうるか?
1 経済学と倫理学の間
2 功利主義とは何か
3 ロールズの批判は乗り越えられるか?
4 本書の目指すもの
第I部 経済思想の中の功利主義──ミル、エッジワース、ヴィクセル
第1章 「極大満足説」と功利主義の間――ゴッセン、ワルラス、エッジワース
1 自由至上主義としての「極大満足説」
2 二種の極大満足説
3 エッジワースによる極大満足説の批判
4 功利主義と自利の追求
第2章 ベンサム主義的功利主義と自由主義的功利主義――功利主義と課税原則の結合関係
1 二種の課税原則論とその根底にあるもの
2 ミルにおける市場と国家
3 課税論のパラダイム的転換
4 国家のリヴァイアサン化に抗して
5 功利主義と現代福祉国家
第3章 効用の個人間比較の可能性――肯定論と否定論を分つもの
1 三つの類型
2 対立の基本的構図
3 複眼的思考
4 経済学と社会学
5 経済学と価値判断
6 独我論と没個体化を超えて
第II部 競合的パラダイムの構図――自由至上主義、功利主義、社会契約主義
第4章 自由主義はどのように基礎づけられるか?――ワルラスの夢想とハイエクのディレンマ
1 「科学的決定論」としてのワルラス理論
2 無知の自覚と自由の擁護
3 文化的進化と自生的秩序
4 「一般的ルール」の改良と進化
5 ハイエク自由論の射程
第5章 合理性は道徳性をもたらすか?――『合意による道徳』の批判的検討
1 ホッブズ的方法は継承しうるか
2 「合意による道徳」の論理構造
3 市場と道徳性──ルールの遵守を保障するものは何か
4 アルキメデスの点──ロールズとゴティエ
5 社会契約論の意義と限界
第6章 人間中心主義は乗り越えられるか――シンガーとスキャンロン
1 種差別主義を超えて──P・シンガーの倫理思想
2 シンガーに残された問題
3 競合的パラダイム──T・M・スキャンロンの社会契約理論
4 公共的意思決定の競合的原理──功利主義と社会契約論
終章 一般的ルール論の展開――経済倫理学の構築に向けて
1 経済・倫理・一般的ルールの相互関係
2 一般的ルールの性質と起源
3 ルール改良の原理
4 ルール論から体制論へ
経済と倫理の円滑なフィードバック関係までを考慮に入れうる「公共哲学としての社会科学」はありうるか。ミル、エッジワース、ヴィクセルらの諸説を再検討し、自由至上主義や契約主義と功利主義との現代の論争を、ハイエク、ゴティエ、スキャンロンらを軸に経済思想史的に分析する。
出典:勁草書房公式サイト
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