『渡部昇一の古代史入門―頼山陽「日本楽府」を読む』渡部昇一(PHP文庫)シリーズ全3巻
2013年4月19日第1版第1刷
346頁
定価:712円(税込)
目次(収録作品)
第1闋 日出處(ひのいづるところ)―「日本」という国名の起源
第2闋 三韓來(さんかんきたる)―古代の大英雄、日本武尊
第2闋 三韓來―神功皇后の「三韓征伐」
第3闋 炊煙起(すゐえんおこる)―仁徳天皇の仁政
第4闋 四天王(してんわう)―用明天皇の「改宗」
第5闋 大兄靴(おほえのくつ)―大化の改新
第6闋 復百濟(くだらをふくす)―白村江の戦い
第7闋 放乕南(とらをみなみにはなつ)―壬申の乱
第8闋 和氣清(わけのせい)―和気清麻呂と道鏡
第9闋 遣唐使(けんたうし)―帰らなかった遣唐使
第10闋 城伊澤(ゐざはにきづく)―桓武天皇と蝦夷征伐
第11闋 髫齓天皇(てうしんのてんわう)―藤原一族の繁栄
第12闋 賢聖障子(けんじやうのしやうじ)―菅原道真の出世と左遷
第13闋 脱御衣(ぎよいをだつす)―醍醐天皇の御親政
第14闋 大絃急(だいげんきふ)・第15闋 撿非違使(けびゐし)―承平・天慶の乱
第16闋 主殿寮(とのもれう)―村上天皇の「天暦の治」
第17闋 七日関白(なぬかくわんぱく)―藤原氏内部の権力闘争
第18闋 月無欠(つきにかくるなし)―藤原道長の栄華
第19闋 赤白符(せきはくのふ)―前九年の役・後三年の役
第20闋 剣不可伝(けんつたふべからず)―藤原時代の終焉
第21闋 朱器台盤(しゆきだいばん)―「保元の乱」の内幕
第22闋 藻壁門(さうへきもん)―平安朝の幕を引いた「平治の乱」
第23闋 烏帽子(ゑぼし)平清盛が最もおそれた嫡男・重盛
著者は、英語学者、評論家。(1930-2017)
本書は、頼山陽の漢詩『日本楽府』を訳し解説したもの。頼山陽は、江戸時代の歴史家、漢詩人で、『日本楽府』は彼がわが国の歴史から絵(詩)になる場面を詠じ、それを時系列順に全66闋(けつ)にまとめたもの。
本書は、「古代篇」として第1から第23闋までを収めている。「日没する処の天子」の遣隋使の国書から始まり、神功皇后の三韓征伐、仁徳天皇の「民のかまど」、大化の改新、白村江の戦いなどが詠われている。
漢詩は難しいが、それを分かりやすく著者がきちんと訳し解説しているので読みやすく、益する所のある書である。本書は、著者の知る人ぞ知る隠れた名著である。それを証拠に何度も復刊されている。また、私の知る限り手にとりやすい形で『日本楽府』を訳したものはほかにはない。著者の功績ある一つの仕事だ。
シリーズの続巻を読まなくても、本書だけでもひとつの書として読める。おすすめ。
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