
『スパイにされた日本人―時の壁をこえて紡ぎなおされた父と娘の絆』エドナ・エグチ・リード、加藤恭子・平野加代子訳(悠書館)
2012年
247頁
定価:2,200円(税込)
目次(収録作品)
着物
東は東、西は東
呪い
光を見つつ
海と丘のはざまで
日が昇る国ー日本へ
海辺の暮し
父の逮捕
小規模自作農
敗戦
海辺の女主人
新しい始まり
父を見つけ出す
偉大なる老女
語られなかった物語
「獄中記」
「長い旅」が終わった
日英開戦の1年半も前にイギリス政府によって不当逮捕され、6年にわたる拘留ののち日本に送還された著者の父、江口孝之は1967年に死去するが、名古屋の自宅の書斎には、2人の女性―エリザベス女王と、最初の妻ウィニフレッド―の肖像画が残されていた……
名古屋の素封家の長男として生まれた孝之は、イギリスに留学して清楚で美しいイギリス女性、ウィニフレッドと結婚。しかし、2人の子どもに恵まれた、なに不自由のない暮らしを送っていた一家の運命は、孝之のいわれのない逮捕で暗転する。イギリスと日本は戦争に突入し、ウィニフレッドは家族の生活を必死に支え、また子どもたちはすさまじいいじめにあい、失踪した父を憎むようになる。
父と生き別れて半世紀以上たち、娘エドナは父の本当の姿を知りたいと思い立つ。理解と和解への長い旅立ち。父から送られた日記やメモ、「獄中記」、そして英国政府の公文書などから明らかになった、父の真の姿、そして国家の犯した悪とは?…
出典:悠書館公式サイト