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『ピダハン』ダニエル・L・エヴェレット(みすず書房)

『ピダハン―「言語本能」を超える文化と世界観』ダニエル・L・エヴェレット、屋代通子訳(みすず書房)

2012年
416頁




目次(収録作品)

プロローグ
第一部 生活
第一章 ピダハンの世界を発見
第二章 アマゾン
第三章 伝道の代償
第四章 ときには間違いを犯す
第五章 物質文化と儀式の欠如
第六章 家族と集団
第七章 自然と直接体験
第八章 一〇代のトゥーカアガ──殺人と社会
第九章 自由に生きる土地
第一〇章 カボクロ――ブラジル、アマゾン地方の暮らしの構図

第二部 言語
第十一章 ピダハン語の音
第十二章 ピダハンの単語
第十三章 文法はどれだけ必要か
第十四章 価値と語り――言語と文化の協調
第十五章 再帰──言葉の入れ子人形
第十六章 曲がった頭とまっすぐな頭――言語と真実を見る視点

第三部 結び
第十七章 伝道師を無神論に導く

エピローグ 文化と言語を気遣う理由

著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。400人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。
本書はピダハンの言語とユニークな認知世界を描きだす科学ノンフィクション。それを30年がかりで調べた著者自身の奮闘ぶりも交え、ユーモアたっぷりに語られる。驚きあり笑いありで読み進むうち、私たち自身に巣食う西欧的な普遍幻想が根底から崩れはじめる。
とにかく驚きは言語だけではないのだ。ピダハンの文化には「右と左」や、数の概念、色の名前さえも存在しない。神も、創世神話もない。この文化が何百年にもわたって文明の影響に抵抗できた理由、そしてピダハンの生活と言語の特徴すべての源でもある、彼らの堅固な哲学とは……?
著者はもともと福音派の献身的な伝道師としてピダハンの村に赴いた。それがピダハンの世界観に衝撃を受け、逆に無神論へと導かれてしまう。ピダハンを知ってから言語学者としても主流のアプローチとは袂を分かち、本書でも普遍文法への批判を正面から展開している。

出典:みすず書房公式サイト

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