『ピノッキオの冒険』カルロ・コッローディ、大岡玲訳(光文社古典新訳文庫)
2016年11月20日初版発行
387頁
定価:840円(税別)
一本の棒っきれから作られた少年ピノッキオは、誘惑に屈してばかりで騒動に次ぐ騒動を巻き起こす。父ジェッペットさんをはじめ周囲の大人たちを裏切り続ける悪たれ小僧の運命は? 19世紀後半イタリア国家統一の時代、子どもに対する切なる願いを込めて書かれた児童文学の傑作。
出典:光文社公式サイト
本書は『新訳 ピノッキオの冒険』(2003・角川文庫)を大幅に加筆・修正したもの。全訳。
よい翻訳で大人にもおすすめの作品。文章に関しては、岩波少年文庫版(杉浦明平訳)と甲乙つけがたい。本書の文章がよい箇所もあるし、杉浦訳の方がよい箇所もある。どちらを選んでもよいだろう。
本書は、言葉遊びやメタファーなどを注や解説で説明しているのがよい。解説の、ピノッキオは、イエス・キリストをなぞらえたもので、『トマスによるイエスの幼児物語』を典拠とした変奏ではないか、という解釈、考察は興味深い。
一点注文をいうと、小学校高学年、すくなくとも中学生が何なく読める程度にルビを振ったほうがよい。童話なのだから。
[関連]
『ピノッキオの冒険』カルロ・コッローディ、杉浦明平訳(新版2000・岩波少年文庫)
『新訳 ピノッキオの冒険』カルロ・コッローディ、大岡玲訳(2003・角川文庫)312頁
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