『中国臓器狩り』デービッド・マタス、デービッド・キルガー、桜田直美訳(アスペクト)
2013年
376頁
目次(収録作品)
PART1 証拠
第1章 調査の方法
第2章 中国の人権状況
第3章 行方不明になった犠牲者たち
第4章 犠牲者はなぜ、血液検査をされるのか?
第5章 臓器移植を受ける患者
第6章 臓器移植を行う病院
第7章 電話取材による調査
第8章 世界第二位の臓器移植国、中国
第9章 蘇家屯強制収容所の報告
第10章 別のチームの調査も同じ結論に
PART2 証拠の基づく行動
第11章 中国政府の反応
第12章 法と現実との間にあるギャップ
第13章 臓器移植にかかわる医師たち
第14章 人権を追求するための戦略
第15章 「文化の違い」と「人権」
第16章 臓器狩りを終わらせるために
中国最大のタブー!
裁判にもかけられず、政府・軍公認のもと、生きたまま臓器を摘出され死亡した、多くの法輪功被害者の真実。
国連人権委員会、アメリカ議会、欧州議会で議論沸騰!私の家族の一人が、法輪功学習者から臓器を収奪する事業にかかわっていました。そのためわが家は大きな苦しみを味わってきました。」これは、本書の「はじめに」に出てくる、著者が直接、インタビューしたアニー(仮名)の証言です。アニーの夫である外科医は、蘇家屯強制収容所から送られてくる、2000人以上の法輪功学習者から、角膜をとる手術をさせられ、それに耐え切れなくなり国外に出たといいます。その病院では、生きている法輪功学習者に心臓を止める注射をし、流れ作業で、心臓、腎臓、肝臓、角膜を摘出し、最後は、ボイラーで焼却するため、遺体は残らないのだそうです。思わず、「まさか!?」と言ってしまう話です。著者も、最初はそう思ったといいます。
しかし著者は、こうしたインタビューや証拠を積み上げて、ジグソーパズルを組み立てるように、「臓器狩り」の全体像を描き出していきます。このショッキングな話の真偽に疑問を持った方は、是非、本書を読み、確かめてみてください。弁護士である著者は、常に反証可能性を念頭に置き、丁寧に、ひとつひとつと事実を検証していきます。感情的な言葉はなく、淡々とした文章ではありますが、行間からは、深い悲しみと、やむにやまれぬ思いが伝わってきます。著者の思いを、あえて言葉にするなら、「人間は人間として扱われるべきである」に尽きるでしょう。忘れてはいけないのは、これが、現在進行形の悲劇だということなのです。出典:アスペクトオンライン
原題『Bloody Harvest: The Killing of Falun Gong for Their Organs』
[参考]
『中国の移植犯罪 国家による臓器狩り』デービッド・マタスほか編(2013・自由社)