『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』スティーヴン・グリーンブラット、 河野純治訳(柏書房)
2012年
395頁
目次(収録作品)
第1章 ブックハンター
第2章 発見の瞬間
第3章 ルクレティウスを探して
第4章 時の試練
第5章 誕生と復活
第6章 嘘の工房にて
第7章 キツネを捕らえる落とし穴
第8章 物事のありよう
第9章 帰還
第10章 逸脱
第11章 死後の世界
15世紀のイタリアのブックハンター ポッジョ・ブラッチョリーニが再発見した、写本をめぐる壮大な歴史物語。
ローマ教皇ヨハネス23世の下で、秘書官・書記として仕えていたポッジョは、文字を筆写できる当時としては数少ない人間のひとりだった。しかし、教皇が退位するにあたり失職。自らの興味の赴くままに、南ドイツの修道院を訪れる。当時、ギリシア・ローマ時代の古典はほとんど失われており、その写本が各地の修道院に少し残っているだけだった。そして、そこで紀元前1Cの詩人ルクレティウスの『物の本質について』を発見する。
紀元前50年頃に書かれた、魅惑的で同時に危険な詩は、エピクロス派の思想を元にした人間中心の賛歌だった。ルネサンスや近代の科学を先取りする思想が、数千年も前にすでに書かれていたことを知り、ポッジョはこの書物を広めることを決意する。古典を見つけ、それを再び広めたことが、その後の芸術家、科学者たちによって、ルネサンスが起こるきっかけとなっていく……。一冊の本をめぐるひとりの男の旅の遍歴と、その後の影響を描く。2011年度全米図書賞、2012年度ピューリッツァー賞受賞の歴史話題作
出典:柏書房公式サイト