『鸚鵡七十話―インド風流譚』田中於菟弥訳(平凡社・東洋文庫)
1963年初版発行
368頁
本書は、古代インドの説話集『シュカ・サプタティ』の全訳。
仕事の用事で旅に出る商人の男が、家に残る妻のことを賢いオウムにたくす。妻は王子に見初められて、浮気のために出かけようとするのだが、オウムが物語をかたり、それを興味深く聞いているうちに夜が明けて浮気が回避される。窮地を切り抜ける内容を語るが、浮気をうまく誤魔化す話が多い。
設定は面白いが、肝腎の物語はいまひとつ。原文のせいか翻訳のせいか分からないが、文章もあまりよくはない。
『屍鬼二十五話』の方がおもしろい。