『誰が風を見たか 増補版 ある精神科医の生涯』臺弘(台弘)(星和書店)
増補版2015年
480頁
目次(収録作品)
第一部 誰が風を見たか
ある日本人の素性
自分を見出すまで
赤い’30年代
結婚と応召
ある軍医の戦争日記──1.自動車隊
戦争日記──2.カンボジアからタイへ
戦争日記──3.マレイ半島の日々
戦争日記──4.パラオの生と死
戦後の松沢病院
新米教授の前橋生活
東京大学と学園紛争
豊かな六十歳代
老年現象
わが生と死
第二部 激動の社会の中で分裂病者にまなぶ
はじめに
遍歴時代
分裂病の生物学的研究
治療についての考察──閑話休題
再発予防五カ年計画と生活臨床
行動研究
「人体実験」問題
行動異常と神経化学との関連
分裂病の長期転帰
地域における精神保健──外来治療について
増補 「大正の子供の物語」、他
臺弘先生の精神医学 1993〜2014年(齋藤 治)
精神科医の仕事と私の人生(臺 弘)
生活療法の基礎理念とその思想史(臺 弘)
大正の子供の物語(臺 弘)
「大正の子供の物語」余話──松沢幼ものがたり(坂本史子)
目には見えない風も、木の葉のざわめきに見ることが出来るように、見えない「心」の異常を、誰もが容易に見ることが出来るようになることを願って止まなかった不世出の天才臺弘。統合失調症を「生きていること」にからむ多次元的な現象として理解するために、時と状況に応じて「脳から行動まで」、「動物から人間まで」、ミクロからマクロに及ぶ生物のシステムを、巨歩をもって渉猟し得た知性の持ち主は、統合失調症をはじめとする精神障害者の生き方の工夫と生活の価値向上のための医療と医学に一生を捧げた。
本書は、1913年から2014年までの世界が激動した百年間を生き抜いた精神科医臺弘の波瀾万丈の回顧録である。出典:星和書店公式サイト