2017年
340頁
目次(収録作品)
第1章 「二日市」からの旅
佐世保の光景/福岡市の無関心
第2章 二日市保養所の真実
二日市保養所の誕生/『水子の譜』の衝撃
第3章 証言と「問診日誌」
敗者の沈黙/波多江兄妹の証言
第4章 泉靖一という男
植民地二世・泉靖一/朝鮮版ジブリの世界
第5章 泉靖一の闘争
敗戦前夜の予言/京城帝国大学
第6章 聖福寮の山本良健
引揚孤児施設「聖福寮」/聖福寮とYMCA人脈
第7章 石賀信子と保母たち
「聖福寮」の孤児たち/引揚港・佐世保
第8章 映像の力・上坪隆
「引揚港・博多湾」/筑豊と戦争を撮る
第9章 次世代へ語り継ぐ
最大の戦争犠牲者/抑圧された性暴行史
・年表で見る「引揚港博多」の戦前戦後
戦後日本の再生は、ここから始まる。
いわゆる戦争問題は、本土大空襲、原爆、沖縄戦を中心に語られることが多い。さらに、戦後史の重要問題として、「敗戦後の引揚げ」があるが、この問題はほとんど研究対象にならず忘却されてきた。
本書は、戦後最大の戦争犠牲者=引揚げ者の苦難のうち、大陸でソ連軍等から性暴行を受けた日本の女性たちを救護(中絶処置、性病治療)し、戦後を再出発させた人々に光をあてた労作。さらに、その中心人物で、〈災害人類学〉の先駆者・泉靖一を再評価する。出典:弦書房公式サイト