『アリストテレスとアメリカ・インディアン』ルイス・ハンケ、佐々木昭夫訳(岩波新書)
1974年
220頁
定価:1,034円(税込)
目次(収録作品)
1 空想としてのアメリカ
2 アリストテレスとアメリカ、一五五○年まで
3 ラス・カサスとセプルベダの前哨戦、一五四七〜五〇年
4 バリャドリ大論戦、一五五〇〜五一年—舞台装置
5 バリャドリ大論戦、一五五〇〜五一年—アリストテレスの先天的奴隷人説のインディオへの適用
6 バリャドリ大論戦、一五五〇〜五一年—インディオに対する正義の戦争の遂行
7 戦闘の余波、一五五〇〜一九五五年(一五七三年の「基本法」まで;一五七三年以後)
8「世界のすべての民族は人間である」
「劣者は優者に支配される」。このアリストテレスの論理が、新大陸「原住民」の奴隷化を正当化した。ラス・カサスは生涯をかけてこの論理に抗う。16世紀における人間の平等をめぐる闘いを描く。1974年3月刊。
出典:岩波書店公式サイト
アリストテレスの地理上の概念がアメリカ発見に影響したことは、かなり前から知られている。だが、スペインによる征服期に、彼の先天的奴隷人の説がアメリカのインディオに適用されたという事実が、まともに研究されるようになったのはごく近年のことである。一般的に言って、十五世紀以前には本当の意味での人種的偏見なるものは存在しなかった。人類はさまざまに対立する人種ではなく、「キリスト教徒と異教徒」のふた通りに分れていたからである。ヨーロッパの、アフリカとアメリカそして東洋への発展が局面を一変させたのであり、それゆえ世界的規模で人種問題を考えようとする者にとって、スペインが経験したことの詳細は大きな意味を持つ。(序より)