『神話と日本人の心〈物語と日本人の心〉コレクション3』河合隼雄、河合俊雄編(岩波現代文庫)シリーズ全6冊
2016年10月18日第1刷発行
372頁
河合隼雄が,ユング派分析家資格取得論文のテーマであった,日本神話の意味と魅力を,日本人読者に向けわかりやすく語る.太陽神アマテラスはなぜ女性なのか? ツクヨミの日本神話における役割とは? 世界の神話・物語との比較の中で日本人独特の心性の深層にせまるとともに,現代社会の課題を探る.晩年の主著,初の文庫化.
出典:岩波書店公式サイト
著者は、心理学者。(1928-2007)
本書は、『古事記』『日本書紀』の本文を示しながらそれらをユング心理学的に分析する内容。前提の知識として『古事記』は通読しておきたい。
本書でも断っているように、内容は『昔話と日本人の心』とある程度重複している。筆者は、『昔話と~』をおすすめする。
[関連・参考]
『神話と日本人の心』河合隼雄(2003・岩波書店)単行本、定価:3,080円(税込)
『昔話と日本人の心』河合隼雄(岩波書店)
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目次(収録作品)
序章 日の女神の輝く国
一 日の女神の誕生
二 神話の意味
三 現代人と神話
四 日本神話を読む
第一章 世界のはじまり
一 天地のはじめ
二 生成と創造
三 最初のトライアッド
四 神々の連鎖
第二章 国生みの親
一 結婚の儀式
二 男性と女性
三 意識のあり方
四 国生みと女神の死
五 火の起源
第三章 冥界探訪
一 イザナキの冥界体験
二 禁止を破る
三 原罪と原悲
四 原罪と日本人
第四章 三貴子の誕生
一 父親からの出産
二 目と日月
三 アマテラスとアテーナー
四 ツクヨミの役割
五 第二のトライアッド
第五章 アマテラスとスサノヲ
一 スサノヲの侵入
二 誓約
三 天の岩戸
四 アマテラスの変容
第六章 大女神の受難
一 大女神デーメーテール
二 再生の春,笑い
三 イナンナの冥界下り
四 イザナミ・アマテラス・アメノウズメ
第七章 スサノヲの多面性
一 スサノヲの幼児性
二 トリックスター
三 オオゲツヒメの変容
四 英雄スサノヲ
五 スサノヲ・ヤマトタケル・ホムチワケ
第八章 オオクニヌシの国造り
一 稲葉の素兎
二 オオクニヌシの求婚
三 スサノヲからオオクニヌシへ
四 スクナビコナとの協調
第九章 国譲り
一 均衡の論理
二 大いなる妥協
三 タカミムスヒの役割
四 サルダヒコとアメノウズメ
第十章 国の広がり
一 海幸と山幸
二 「見畏む」男
三 第三のトライアッド
第十一章 均衡とゆりもどし
一 均衡のダイナミズム
二 三輪の大物主
三 夢と神
四 サホビコとサホビメ
五 結合を破るもの
第十二章 日本神話の構造と課題
一 中空均衡構造
二 他文化の中空構造神話
三 ヒルコの役割
四 現代日本の課題
あとがき
解説 日本神話にみる三元論の思考 中沢新一
<物語と日本人の心>コレクション 刊行によせて 河合俊雄