2019年
783頁
定価:4,070円(税込)
「日本という国はなくなってしまうかも知れない」――「平成」の虚妄を予言し、現代文明を根底から疑った批評家の光と影。二十二歳の時、「夏目漱石論」でデビューして以来ほぼ半世紀、『成熟と喪失』『海は甦える』など常に文壇の第一線で闘い続けた軌跡を、自死の当日に会った著者が徹底的な取材により解き明かす。新事実多数。
出典:新潮社公式サイト
目次(収録作品)
第一章 最後の一日と最初の一日
第二章 美しき「母」を探し求めて
第三章 祖父の「海軍」と祖母の「海軍」
第四章 「故郷」と「胎内」失った少年
第五章 日米戦争下の落第坊主
第六章 湘南ボーイの黄金の「戦後」
第七章 東京の場末の「日本浪曼派」
第八章 日比谷高校の早熟な「若年寄」
第九章 「貴族」の矜持と「道化」の屈辱
第十章 生存競争から降りた一年間
第十一章 批評家誕生前夜の「自画像」
第十二章 「私立の活計」福沢諭吉と「恋人」三浦慶子
第十三章 隠蔽される主任教授「西脇順三郎」の名前
第十四章 昭和二十九年夏の自殺未遂
第十五章 甦えった江頭淳夫、「江藤淳」への転生
第十六章 山川方夫との『夏目漱石』論議
第十七章 小林秀雄と正宗白鳥の影響
第十八章 漱石の帝大講義に挑んだ卒業論文
第十九章 「悪役」評論家開業、大学院“追放”
第二十章 吉祥寺の鉄筋アパートで「退路を断つ」
第二十一章 “主査”埴谷雄高と“副査”井筒俊彦に導かれ
第二十二章 「若い日本の会」と怒りっぽい若者たち
第二十三章 新“指導教授”大岡昇平と「愛娘」ダーキイ
第二十四章 六〇年安保の「市民」江藤淳と「大衆」吉本隆明
第二十五章 一九六〇年の「転向」と、小林秀雄の素顔
第二十六章 埴谷雄高との訣れ、「天皇」小説の季節
第二十七章 三島由紀夫との急接近
第二十八章 小林秀雄との対決、アメリカでの「仮死」
第二十九章 日米架け橋の「優等生」か「反逆児」か
第三十章 「もう一年、日本のために二人で頑張ろう」
第三十一章 日本文学史を貫くプリンストン講義
第三十二章 「帰って来た」男の「日本」と実生活
第三十三章 山川方夫の急死
第三十四章 昭和四十一年、もうひとつの「妻と私」
第三十五章 ポップアートとしての『成熟と喪失』
第三十六章 『一族再会』と「家庭の幸福」の狭間で
第三十七章 大江健三郎との「絶交」
第三十八章 「儒教的老荘」吉本隆明vs.「老荘的儒教」江藤淳
第三十九章 「国家の官吏」東工大教授の「政治的人間」研究
第四十章 昭和版「末は博士か大臣か」
第四十一章 戦後体制への異議申し立て――無条件降伏論争、占領軍の検閲、宮沢憲法学、吉田ドクトリン批判
第四十二章 孤立、憎まれ、生き埋め、「江藤淳隠し」
第四十三章 天皇崩御――その喪失感と大河昭和史の中絶
第四十四章 「疲れるってことが日本なんですよ」
第四十五章 妻と私、女と私、母と私
あとがき
江藤淳著書目録
主要人名索引