『時間と無知の経済学―ネオ・オーストリア学派宣言』ジェラルド・P・オドリスコルJr.、マリオ・J・リッツォ、橋本努・井上匡子・橋本千津子訳(勁草書房)
1999年
340頁
目次(収録作品)
第1章 主観主義的経済学の概観
1 時間と無知
2 時間と道の重要性
3 ケインズ経済学とオーストリア学派の貢献
4 本書残りの概観
Ⅰ 枠組み
第2章 静態的主観主義対動態的主観主義
1 諸問題
2 主観主義の方法
3 主観主義のさまざまな次元
4 静態的主観主義と動態的主観主義の関係
5 終わりに
第3章 知識と決定
1 主観主義の内実:知識
2 選択肢の考量としての主観主義
3 終わりに
第4章 時間の動態的把握
1 ニュートン的時間
2 現実の時間
3 現実の時間・計画・行為
4 経済プロセスと不確実性
5 ニュートン的時間と現実の時間:その相互関係
6 終わりに
第5章 均衡における不確実性
1 真の不確実性
2 真の不確実性:典型と特異性
3 均衡
4 均衡と最適性
Ⅱ 応用
第6章 競争と発見
1 はじめに
2 機会と発見
3 知識と競争
4 プロセス理論と規範的な経済学
5 動態的均衡
6 ルール対連続的な効用極大化
7 企業理論
8 補説:確率論的な均衡
第7章 競争と独占の政治経済学
1 静態的競争と動態的競争
2 不確実性と市場
3 最適な政策
4 独占の財政権理論
第8章 貨幣のミクロ分析論
1 はじめに
2 貨幣のミクロ分析
3 貨幣の起源
4 景気循環
5 経済変動の主観主義的理論
6 合理的予想
7 終わりに
第9章 いくつかの残された問題
新版の序『時間と無知の経済学』を出版してから十年
オーストリア学派の方法論(哲学)の核心は主観主義(個人の選択の自律性を重視)にある。人々による自律的で創造的な意志決定が行なわれるならば、未来は、原理的に知ることができなくなる。二つの方面でこの点を考えてみる。一つは時間の概念を多様化すること(現実的、歴史的、主観的)、二つは不確実性について考察を深めること。主流派の新古典派経済学は、以上とは正反対の主張をしている。こうして本書は、ミーゼス、ハイエク以来のオーストリア学派の立場を概説しながら、主流派との対立点を明確にしようとするものである。
出典:勁草書房公式サイト