『功利主義と社会改革の諸思想』音無通宏編著(中央大学出版部)
2007年
523頁
定価:7,150円(税込)
目次(収録作品)
第I部
第1章 功利主義の正義論 池田貞夫
第2章 ベンサム功利主義の構造と初期経済思想の展開 音無通宏
第3章 功利主義と植民地 ―ベンサムの植民地論― 板井広明
第4章 ジェイムズ・ミルの統治思想 ―共感、道徳的制裁、世論― 益永淳
第5章 J・S・ミルとL・ワルラスのレジーム構想 ―所有構造の変容を中心に― 高橋聡
第6章 ヴェブレンと功利主義 ―人間行為論を中心に― 石田教子
第7章 J・A・ホブソンの厚生経済学と政策的展開 八田幸二
第Ⅱ部
第8章 アリストテレス『ニコマコス倫理学』における応報 濱岡剛
第9章 アダム・スミスの資本主義観 和田重司
第10章 F・リストと一八三九―四○年の経済諸論文 片桐稔晴
第11章 ヴィクトリア朝中期における宗教意識と文学―M・アーノルドとA・H・クラフの場合― 中川敏
第12章 初期マーシャルの認識論と思想形成 門脇覚
功利主義は現代思想と理論の最前線で論争の対象となっているが、多くの誤解にさらされている。本書は、最新の研究成果を吸収しつつ、ベンサムやミルに立ち返って権利論や正義論を基礎とする功利主義本来の思想構造を解明し、権利や平等を重視する思想として功利主義を特徴づけている。同時に、功利主義批判の諸思想についても取り上げ、社会改革思想としての功利主義の多角的・多面的な研究となっている。権利論や契約論の立場からの現代功利主義批判にも答えるとともに、植民地や後発国に対して先進国の思想としての功利主義がもつ側面にも光をあてており、従来にない新しい本格的な功利主義研究。
出典:中央大学出版部公式サイト