『厚黒学―厚かましく、かつ腹黒く生きよ』李宗吾、尾鷲卓彦訳(徳間文庫)
2002年2月15日第1刷発行
309頁
目次(収録作品)
1 厚黒学―なぜ「厚かましく」「腹黒く」生きるのか
第1章 厚黒学
第2章 厚黒伝習録
第3章 厚黒経
第4章 わが聖人への懐疑
第5章 心理と力学
2 厚黒叢話―いかに「厚かましさ」「腹黒さ」を貫くか
巻の1 厚黒学で国家を救え
巻の2 四川の日本人教師
巻の3 右も左も厚黒の世の中
巻の4 西洋の聖人に異議あり
巻の5 世界大戦と厚黒学
巻の6 儒学は厚黒学の基礎である
著者は、清朝末期の著述家。(1879-1943)
『論語』や『孟子』などの教えをその通り行って、大きな成功を収めた人間など一人もいない。成功した人間は、むしろ『論語』などとは反対に、厚かましさ、腹黒さを徹底した者たちである。ゆえに、それらを徹底するのが成功の秘訣である、ということを説く本。
論に関係がない叙述がくだくだと非常に長いのがよくない。内容だけなら本書の四分の一ほどで書けるだろう。また、内容も筆者にはあまり益するところはなかった。
「簳切断法」「鍋補修法」(p.54)については、興味深い。これは現今の役所仕事などにも通ずるものである。
簳切断法
「矢が刺さったので外科医のところにいくと、医者は簳(やがら)(矢の幹の部分)だけを鋸で切り取って治療代を請求した。なぜ矢じりを取りださないかと問えば、あとは内科の仕事だからそちらに行け――というような話が民間に伝わっている。
今日(中華民国初期)、役所の各級機関では、いずれもこの医者のやり方を踏襲している。」
鍋補修法
なべが漏れるので鋳掛屋に修理をたのんだ。鋳掛屋は、客の目を盗んでなべの傷をひろげて、それを見せ、だいぶ大きな穴があいているから、結構、修理費がかかると説明する。修理が終わると客は喜び、鋳掛屋はまんまと余分の金を得る。
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『厚黒学―厚かましく、かつ腹黒く生きよ』李宗吾、尾鷲卓彦訳(1998・徳間書店)単行本、定価:1,760円(税込)
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『厚黒学』李宗吾、尾鷲卓彦訳(2016・徳間文庫カレッジ)定価:1,210円(税込)
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