『日本人の意識構造―風土・歴史・社会』会田雄次（講談社現代新書）
1972年10月25日第1刷発行
237頁
目次（収録作品）
１ 日本人の意識構造
２ 日本的日本人
日本における大物指導者の条件
察することと話し合うこと
公私混同のすすめ
世間体ということ
日本人の精神的原点
現代親不孝論―人倫的関係の消滅
３ 日本人の精神的原点
日本ロマンティシズムの復興
ナショナリズムの歴史的原点
著者は歴史学者。（1916-1997）
本書は、目次の8本のエッセー（論説）を収めて編集したもの。
なかなか鋭い考察と、肯首できない考察とが入り交じっている。1970年代に書かれたものなので、その当時とは変わっている所もある。それから、本書でも進歩的文化人を批判している箇所があるが、当時は彼らの言説が跋扈していて、彼らによる日本人論は（不当な）自国バッシングのものばかりだった。それらに比べれば、本書の論ははるかによい方ではある。国家意識についてなどの指摘は、正鵠を射ている。
考えるヒントしても本書は読んでも悪くはない。ただ、（ジャンルは違うが）著者の本としては、『アーロン収容所』をまずおすすめする。