『大鏡 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』武田友宏編(角川ソフィア文庫)
2007年12月25日初版発行
278頁
平安後期の歴史物語。菩提講にて200歳近い二人の翁と老婆が昔の出来事を語るというおもしろい設定。藤原道長の栄華についてを中心に語られる。
鏡物(かがみもの)の最初で、このあと『今鏡』『水鏡』『増鏡』が書かれた。
訳文、原文の構成。本書は全訳ではなく抄訳。
設定はよいが、筆者には興味深く感じるエピソードが少なかった。藤原道長の肝試しと「勅なれば いともかしこし うぐひすの 宿はと問はば いかが答へむ」(鶯宿梅)の話は中々よかった。
日本の古典で興味深いエピソードを収めるものといえば、(ジャンルが違うが)筆頭としては『古事記』、それから『今昔物語』『宇治拾遺物語』などを筆者はおすすめする。
なお、同じ書名の似た本に『大鏡』佐藤謙三校注(角川ソフィア文庫)があるが、こちらは注のみで口語訳(現代語訳)はないので注意。また、抄訳。
[参考]
『大鏡』佐藤謙三校注(1969・角川ソフィア文庫)349頁
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