『東京に暮す―1928~1936』キャサリン・サンソム、大久保美春訳(岩波文庫)
1994年12月16日初版発行
269頁
第1章 日本上陸
第2章 日本の食事
第3章 日本人の労働
第4章 日本の伝統
第5章 百貨店にて
第6章 礼儀作法
第7章 樹木と庭師
第8章 日本人の人生
第9章 社交と娯楽
第10章 日本人と旅
第11章 日本人とイギリス人
第12章 日本アルプス行
第13章 日本の女性
イギリスの外交官にして日本研究者である夫ジョージ・サンソムの赴任に伴って来日したキャサリン・サンソム(一八八三―一九八一)が,昭和初期の東京の街と人々の暮しを軽妙な筆致で描いた日本印象記.母親のねんねこで眠る赤ん坊,お喋りに夢中な店員など庶民の姿が暖かい目差しで描かれほのぼのとした人間観察記になっている.挿絵多数.
出典:岩波書店公式サイト
上記の説明の通り、外交官夫人のイギリス人女性による日本の印象記。
平明な筆致で我が国の市井のひとびとの特徴・特長をつづった名エッセー。日常の見聞で、ほのぼのとした雰囲気の語り口だが、背後に日本文化について豊富な知識があるのは間違いなく、確かな観察眼によって語られている。下手な知識人よりよっぽど洞察力があり、寛容な心で日本人・日本文化を読み取っている。
富士山や日本の庭や日本人女性の賛美、日本人の微笑、盆踊り、日本の老人は気品があるなどの観察は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の印象記を思わせる。おすすめの良書。
(字が小さいので改版して大きくして欲しい。)
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