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『はじめてのインド哲学』立川武蔵(講談社現代新書)

『はじめてのインド哲学』立川武蔵(講談社現代新書)

1992年
226頁




目次(収録作品)

第1章 自己と宇宙の同一性を求めて
第2章 汝はそれである―ヴェーダとウパニシャッドの世界
第3章 仏教誕生―ブッダからアビダルマへ
第4章 バラモン哲学の成立
第5章 大乗仏教の興隆
第6章 バラモン哲学の展開―ヴェーダーンタ哲学
第7章 タントリズム(密教)の出現
終章 世界の聖化の歴史

自己が宇宙と合一する――インド精神が一貫して求めたものは、自己と宇宙(世界)との同一性の体験であった。世界を超越する創造神を認めないインドの人々が求めた「神」は、世界に内在する神、あるいは世界という神であった。一方、インドは自己に許された分際というものを知らなかった。つまり、自己は限りなく「大きく」なり、「聖化」され、宇宙(世界)と同一と考えられた。もっとも、宇宙との同一性をかちとるために、自己は時として「死」んだり、「無」となる必要はあった。しかし、そのことによって自己はその存在の重みをますます増したのである。自己も宇宙も神であり、「聖なるもの」である。自己と宇宙の外には何も存在せず、宇宙が自らに対して「聖なるもの」としての価値を与える、すなわち「聖化する」のだということを、何としても証したいという努力の過程が、インド哲学の歴史にほかならないのである。――本書より

出典:講談社BOOK俱楽部

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