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『逝きし世の面影』渡辺京二(平凡社ライブラリー)

『逝きし世の面影』渡辺京二(平凡社ライブラリー)

2005年
604頁




幕末から明治にかけて訪日した外国人の記録から当時の日本人の姿(の一つ)を浮き彫りにした一書。日記・エッセー・手紙等を豊富に引用し、分かりやすい文章でみごとにまとめられている。たいへんな労作であり良書。おすすめ。

今日の日本の論客は、彼ら(引用者注:欧米人)の日本讃美をオリエンタリズム的幻影として否定する一方、彼らの日本批判については鬼の首を取ったように引用し、まったく無批判に受容しているのだ。要するに彼らは、日本がポジティヴに評価されることに拒否感を抱き、一方日本に対するネガティヴな評価には共感する心的機制を植え込まれているのであって、好意的なものであれ悪意的なものであれ、西欧的アイデンティティに立脚するオリエント観を一切拒否するサイードのラディカリズムとは本質的に無縁なのである。

重要な指摘。自国を悪く言うと落ち着くというメンタリティーは、どうしようもない。

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