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『神国日本―解明への一試論』ラフカディオ・ハーン(東洋文庫)

『神国日本―解明への一試論』ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)、柏倉俊三訳(平凡社・東洋文庫)

1976年7月14日初版発行
453頁
定価:3,200円(税別)




目次(収録作品)

1 難解なこと
2 珍しさ魅力
3 上代の祭祀
4 家庭の宗教
5 日本の家族
6 地域社会の祭祀
7 神道の発展
8 礼拝と浄めの式
9 死者の支配
10 仏教の伝来
11 大乗仏教
12 社会組織
13 武家の興隆
14 忠義の宗教
15 キリシタンの災厄
16 封建制の完成
17 神道の復活
18 前代の遺物
19 現代の抑圧
20 官吏教育
21 産業上の危機
22 反省

付録 ハーバート・スペンサーの日本に対する助言

本書は『Japan: An Attempt at Interpretation』(1904)の邦訳(全訳)。
アメリカのコーネル大学の講義のためにまとめた草稿がもとで、講義が中止になったため一書として出版された。

日本の歴史、宗教、文化など目次の内容を編年的に論ずる。平明なよい訳である。
欧米にあまり知られていなかった当時に、我が国のことを伝えた意義のある書だとは思う。が、ひとつの読み物としては、部分的に興味深い所はあるものの、今読むには、いまひとつである。
ウィリアム・アダムス(三浦按針)についてのくだり(p.260辺~)や日本の女性を賛美している所(p.302~)などは興味深い。

筆者にはそれを判断する見識がないが、おそらく事実として間違っている部分があちこちにあると思われる。
また、「第十九世紀の半ばにいたるまで、この民族(筆者注:日本民族)は、二千六百年前のヨーロッパの族長社会とまるで同じ状態のままでいたのである。」(p.378)と述べていて、ほかのいくつかの箇所でも述べているが、意味不明である。「族長社会と繋がっている(部分がある)」とかいうならまだ分かるが、「同じ状態」のわけはない。

[筆者注]
(p.34)「(略)生贄の代わりに人間や馬などの土偶の代用を献策した。」

「土偶」ではなく「埴輪」。(原文は「earthen images」)。p.238の箇所には「〈いわゆる埴輪〉」と注されている。

[関連]
『日本―一つの試論』小泉八雲、平井呈一訳(恒文社)
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神国日本―解明への一試論 (東洋文庫 292)

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