『リベラリズムとは何か―ロールズと正義の論理』盛山和夫(勁草書房)
2006年
369頁
目次(収録作品)
序章 リベラリズムという思想
I ロールズ『正義論』とはなにか
第1章 多元的社会にとっての規範的な原理
1 脳死問題で何が問われたか
2 規範的な社会理論の探究
3 現代の規範的社会理論を代表するリベラリズム
4 多元主義にどう答えるか
第2章 ロールズ『正義論』の衝撃
1 まどろみを破った巨大地震
2 協働の体系のための原理
3 社会の道徳性
第3章 契約論モデルと内省的均衡
1 原初状態の論理
2 契約というフィクションの規範的な力
3 内省的均衡
4 契約論から重なり合う合意へ
第4章 格差原理とは何か──ロールズの平等理念
1 平等主義の課題
2 格差原理の解釈と批判
3 ロールズが格差原理で意味していたこと
II 現代リベラリズムの論理
第5章 責任―平等主義とリベラリズムの深化
1 格差原理から平等の純粋理論へ
2 責任―平等主義の展開
3 無視された帰結
4 「責任」の錯覚
第6章 自由という価値の理由
1 自己決定原理
2 センのリベラル・パラドックスとその意味
3 リベラリズムと三つの自由
第7章 包括的リベラリズムと限定的リベラリズム
1 階層から文化へ
2 リベラリズムの基本諸テーゼ
3 コミュニタリアニズムに批判されるリベラリズム
4 包括的リベラリズムと限定的リベラリズム
第8章 文化の差異とリベラルな価値
1 マルチカルチュラリズム(多文化主義)
2 フェミニズムからのリベラリズム批判
3 文化的中立性の問題
第9章 リベラリズムの誤算
1 普遍の帝国
2 正当化可能性の基礎づけ主義
3 超越としての正義とその不可能性
終章 仮説としての規範的原理
90年代以降、リベラリズムは社会を捉える枠組みとして最もよく機能してきた。しかしその思想の実質が正しく理解されてきたとは言いがたい。リベラリズムとはいかなる思想であり、なぜ脚光を浴びたのか。何を達成し、何に失敗しているのか。ロールズ『正義論』の衝撃と魅力を解読しつつ、現代リベラリズムが直面する困難と限界を探る。
出典:勁草書房公式サイト