『EXTRA LIFE なぜ100年で寿命が54歳も延びたのか』スティーブン・ジョンソン、大田直子訳(朝日新聞出版)
2022年
356頁
目次(収録作品)
序章 人類はどのように“二万日”を勝ち取ったのか?
第1章「私はあとどれくらい生きられるのか」を知る方法―平均寿命の測定
第2章 ひらめきを世界に普及させる方法―人痘接種とワクチン
第3章 生死を分ける数字を探す方法―データと疫学
第4章 青い牛乳に殺されない方法―低温殺菌と塩素殺菌
第5章 大規模な薬害を起こさない方法―薬の規制と治験
第6章 世界を変えるカビを大量生産する方法―抗生物質
第7章 卵を屋上から落としても割れないようにする方法―自動車と労働の安全
第8章 土とヒヨコの力で世界を養う方法―飢饉の減少
終章 寿命を縮める「災禍のリスト」
人類の寿命は100年間で2倍に延びた。ほかでもない、人間自身が延ばしてきたのだ。本書は、遺伝子操作や老化を抑制する薬などない時代に、世界中で起きていた、さまざまな分野における“命のイノベーション”の物語である。
医薬品や殺菌、自動車など機械の安全装置、統計データ解析、飢饉の回避など、一見地味だが、どれが欠けても寿命は今より短くなっていただろう。そして、これらが私たちの“当たり前”になるまでの物語には、人類の未来を築くための重大なヒントがある。
世界史の教科書で取り上げられるのは、華々しい発明や偉業を成し遂げた一部の天才に限定される。しかし、寿命を延ばした歴史を語るには、それだけでは不十分だ。
「人々を死なせないため」のイノベーションがもたらしたものは、決して後世を生きるわれわれにとって輝かしい成果だけではない。その功罪を知ることで、私たちは人類の寿命を縮める「災禍のリスト」をつぶす道を見出せるかもしれない。出典:朝日新聞出版公式サイト