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『ヒトラーを支持したドイツ国』ロバート・ジェラテリー(みすず書房)

『ヒトラーを支持したドイツ国』ロバート・ジェラテリー、根岸隆夫訳(みすず書房)

2008年
447頁




目次(収録作品)

1 ワイマールとの訣別
2 警察司法
3 強制収容所と新聞報道
4 戦争の影
5 社会的アウトサイダー
6 不法とユダヤ人
7 外国人労働者にたいする特別「司法」
8 内部の敵
9 市民の庭先に出現した強制収容所
10 第三帝国末期の独裁制と国民

ドイツの一般大衆は当時、ナチ恐怖支配についてどこまで知っていたのか。実際には、戦争の進展とともに強制収容所は次々と増設されて身近な存在になり、被収容者が公開処刑にされる様子まで日常的に見ていた。政府が「非社会的分子」や外国人労働者を排除することを、国民の多くは誇りとし、積極的に協力した。一方で、ヒトラーは「敵」には容赦ない強制手段をとりながら、国民を味方につけることには細心の注意を払った。情報操作を徹底し、事実を隠すよりは公開したのである。「強制」と「同意」は一貫して縺(もつ)れ合っていた。

著者はこの分野の卓越した研究者である。廃棄を免れたゲシュタポ調書等と、当時の新聞雑誌をていねいに読み、1933年のヒトラー権力掌握から1945年の敗戦までの「同意と強制」の真相をさまざまな方向から明らかにする。同時に、反ユダヤ主義は最初から国民に浸透していたのではなく、戦争突入が契機となったことを実証した。
関連書のなかでは長く残る一冊として、本書は評価が高い。(略)

出典:みすず書房公式サイト

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