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『インタープレタティオ・ヤポニカ―アングロ・サクソン人の改宗と詩』織田哲司(明治大学出版会)

『インタープレタティオ・ヤポニカ―アングロ・サクソン人の改宗と詩』織田哲司(明治大学出版会)

2021年
264頁




目次(収録作品)

序章 アングロ・サクソン人のキリスト教改宗
 なぜ「教会史」なのか
 教会の布教戦略

第1章 カール・シュナイダーの古代研究
 カール・シュナイダーの半生
 「イメージの考古学」
 それまでの印欧比較言語学
 印欧語族の神統系譜
 北欧神話の宇宙創成物語
 原初両極と原初物質
 生命の源、豊穣の神としての原初存在神
 世界大工・世界巨人としての原初存在神
 世界樹としての原初存在神
 系譜学的な見方
 アングロ・サクソン人の改宗とことばの「改宗」

第2章 インタープレタティオ・ヤポニカ Ⅰ:天皇とゲルマンの王
 ゲルマンの地、ゲルマンの民
 国学からゲルマン古代学へ
 折口信夫の古代研究:「みこともち」と「まれびと」
 ゲルマンの王と宮廷
 ゲルマンの預言詩人
 『キャドモンの賛歌』
 死者を弔う歌
 英雄や建物を讃える歌
 詩人は社会知性の表現者

第3章 インタープレタティオ・ヤポニカ Ⅱ:聖王の祭祀
 大嘗宮と高層ビル
 聖王の祭祀
 農耕的側面1:ネルトゥスの祭儀
 農耕的側面2:雄牛御供
 農耕的側面3:地力回復のおまじない『エカボート』
 政治経済的側面1:宴における宝物の分配
 政治経済的側面2:戦場における略奪物の埋蔵

第4章 インタープレタティオ・ヤポニカ Ⅲ:円環運動する世界
 シュナイダーのルーン文字研究
 収穫と運命
 ルーン文字を用いた祭儀
 『ルーン文字名称記憶詩』に見る「まれびと」のと円環的世界観
 英雄詩『ベーオウルフ』
 『ベーオウルフ』冒頭の謎
 『ベーオウルフ』に見る円環的世界観
 『ハムレット』とアムレート伝説
 循環の阻害要因としての竜
 「土に還す」を意味することば

終章 円環的世界観から直線的世界観へ
 『死者の書』
 イングランドにおけるその後の布教と学問のはじまり
 アルクィンとヴァイキングの襲撃
 教会による誤解
 教会によるゲルマン詩人の利用
 ボエティウスの影響
 エレジーの制作目的
 『不死鳥(ザ・フェニックス)』:蝶番としての「復活」

語源が示す古代の農学

シュナイダーが開けたのは知の扉だったのか、それともパンドラの箱だったのか?—ドイツの印欧比較言語学者・英語学者カール・シュナイダーがわれわれに見せてくれた古代ゲルマンの世界は、日本の民俗学者折口信夫が再現した古代日本の風景とそっくりであった。それは古代ギリシャやローマの世界ではなく、また初期キリスト教文化の世界でもない、ユーラシア大陸西部の農耕民による原風景であった。本書では(1)シュナイダーの研究を紹介し、(2)それをもとに折口の「まれびと」論を参照しながら古英語時代前期から中期のキリスト教改宗期にアングロ・サクソン人が残した詩の本質を解明する試みである。そこには『ベーオウルフ』が内包する問題や、エレジーと呼ばれるジャンルの古英詩の制作目的などが含まれる。さらにはシュナイダーが解明したgod, belief, worldなど数々の英語の語源解説も紹介されている。

出典:明治大学公式サイト

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