『古事記』角川書店編(角川ソフィア文庫、ビギナーズ・クラシックス)
平成14年(2002)8月25日初版発行
300頁
我が国最古の歴史書。(我が国最古の書は、聖徳太子が記したとされる『法華義疏』とされている)
皇室の歴史を記すと共に、我が国の神話・伝説・歌謡をしるした書。
1300年ほど前に著されたものであるのに、いまも新鮮で興味深いエピソードにあふれている。
日本人として読むべき書の筆頭といっても過言ではない。
このような貴重で尊い書を有していたら、ほかの国では間違いなく義務教育で教養として教えるであろう。だが、我が国では情けないことに「東京裁判史観」により、不当に等閑視されている。内容の善悪は別にして(わるくはないが)このような歴史的な書が自国にあるのに伝えないというのは、考えられない事である。
我が国の古典で『古事記』しか読んでないと言っても恥ずべきでないといえるほどの必読の古典である。
難解に思われている向きがあるが、そんなことはなく中学生くらいから昔話のように楽しく読める。
本書は『古事記』全文ではなく、歴代天皇の事績や記録などを略し、神話や伝説のエピソードを収めている。ひとつひとつのエピソードも全文でなく、興味深いところや重要なところが多少省略されいるのが欠点だが、コラムや解説などもよく、一冊としてはよくまとまっている。本書だけでも古事記の教養としてはほぼ十分である。
本文(漢文)はなく、訓み下し文と口語訳(現代語訳)の構成。
訓み下し文もよいものであるし、ルビが丁寧にふられているのもよい。
全文を読みたい人は『新版 古事記 現代語訳付き』(角川ソフィア文庫)がよい。ただ、こちらは本書よりは字が小さく、行間が狭く読みづらい難点がある。
[関連]
『新版 古事記 現代語訳付き』中村啓信訳注(2009・角川ソフィア文庫)
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