『ドナルド・キーン著作集』(全15巻)(新潮社)
第10巻 2014年・469頁
目次(収録作品)
自叙伝 決定版
Ⅰ 生立ちから太平洋戦争が終わるまで
ニューヨーク郊外の少年時代
九歳、ヨーロッパへの船旅
パリ、ウィーンでの歴史との出会い
十六歳、コロンビア大学に入学
ナチ侵攻のさなか、『源氏物語』に没頭
最初の日本語は「サクランボ」
角田柳作先生と真珠湾攻撃
海軍日本語学校へ
日本兵の日記に感じ入る
アッツ島・キスカ島作戦
日本人の捕虜たちと
神風特攻機に肝を冷やす
沖縄本島上陸
初めて「部下」を持つ
原爆投下と終戦
中国の青島へ
戦犯調査任務の苦痛
バンザイ・アタック論争
焼け野原の東京へ
帰還時の記憶
II あこがれの日本で暮らす
戦争が与えてくれた贈り物
コロンビア大学に復学
日本学者への道
ハーヴァード大学へ「遍参」
ライシャワー教授
ヨーロッパを旅する
ケンブリッジでの生活
ディキンズ夫人との友情
バートランド・ラッセル卿の意外な発言
作家フォースターとオペラ
我がお手本アーサー・ウエーリ
日本語と朝鮮語の教師に
落胆を覚えた日本文学連続講義
日本行きの奨学金を得る
留学の地、京都へ
念願の日本式生活を始める
『日本文学選集』の編纂
書と狂言を習う
永井道雄との出会い
よき時代の京都
伊勢神宮式年遷宮を初めて奉拝
嶋中鵬二を訪ねる
三島由紀夫との十七年
大谷崎
日本語での著作と講演で気づいたこと
日本を去る
III 二つの母国に生きる
教師生活とパーティーと日本ブーム
グレタ・ガルボをエスコート
日本での国際ペンクラブ大会に参加
我が「処女小説」
アイヴァン・モリスの思い出と古典の翻訳
東京の作家たちと交わる
謡曲『熊野』と母からの手紙
東南アジアの旅へ
ウエーリとの別れ、母の死、そして日本での救い
六〇年代の仕事と旅
大江健三郎と安部公房
ソ連訪問によって「日本文学史」の構想を転換
共産主義国家とファシズム国家
二つの人生を生きることに
国際文学賞審査員の栄光と挫折
三島由紀夫の自決
葬儀委員長川端康成とノーベル文学賞
IV 著述と旅との日々
日記文学を「発見」した『百代の過客』から伝記『明治天皇』へ
「日本のこころ」を足利義政に見出す
「年中行事」とニューヨーク
旧友ヨーロッパ、「最後の港」日本
「紅毛碧眼」の一人だった私と蘭学者たち
『渡辺崋山』を書いた理由
「老齢」を楽観する
Ⅴ 晴れて日本人に
光彩陸離たる日々
大震災と日本国籍
生涯一学徒
私の大事な場所
I 思い出の時と国と街と
私の大事な年
光と影のスペイン
北京の春
ポーランドにリラが咲く頃
五十三年ぶりのウィーン
「清き水上尋ねてや……」――京都・鴨川
わが街、東京
“かけ橋”としての人生 川島啓助訳
ニューヨークの近松門左衛門
II 一石を投じ続けて
私の自己証明
定説と自説の間で
文学と歴史の境界線を越えて
東北に対する私の偏見
漢字が消える日は来るか
学者の苦労
III 親しき友たちへ
私という濾過器
作品で世界と「会話」――安部公房氏を悼む
御堂筋を歩いた思い出――司馬遼太郎氏を悼む
友人であり恩人――嶋中鵬二氏を悼む
良い友達を失ってしまった――永井道雄氏を悼む
IV オペラに寄せる
私の好きな空間――歌劇場
ケンブリッジのキャスリーン・フェリアー
わがマリア・カラス――『トスカ』第二幕LD化に寄せて
メトロポリタンに「還暦のドミンゴ」を聴く 武藤浩史訳
解題
人名索引/作品名索引
日本文学との運命的な出逢いから、太平洋戦争に従軍した若き日、さらに、日本での作家たちとの親交、近年の日本国籍取得まで──総じて「幸運な人生だった」と振り返る92年間には、感動を呼ぶ様々な出来事があった。何作もある自伝的著述を再構成し、新たな事実や描写も大幅に加えて、一本の壮大な人生ストーリーが現出した。
出典:新潮社公式サイト