『ユダヤ人―なぜ、摩擦が生まれるのか』ヒレア・ベロック、監修:渡部昇一 、中山理訳(祥伝社)
2016年
400頁
目次(収録作品)
本書のテーゼー難題にいかに対処するか
問題の否認ーユダヤ人問題は存在しないとする態度
問題の現局面ーボルシェヴィキ主義とユダヤ人
摩擦の一般的原因―ユダヤ人の特質と流儀
摩擦の特別の原因―敵意に油を注ぐもの
私たちの側の摩擦の原因―不誠実と無知
反ユダヤ主義者―増殖する敵意と憎悪
ボルシェヴィキ主義―ロシア革命とユダヤ人
世界全体での立ち位置―その支配の実態
イングランドにおける立ち位置―その特殊な関係〔ほか〕
「ユダヤ問題」についての予言と警告の書
本書の初版は、1922年、つまりソ連政府が成立した年だが、そこにはロシア革命のリーダーだったと思われているロシア人のユダヤ名まで記されており、当時のイギリスの知識階級の間では、「ユダヤ人革命」という言い方が並称されていたこと、またロマノフ家の宝物が、ロンドンやパリの、ユダヤ人の店で売りに出されていたことなどが記されている。
だからと言ってベロックは、「反ユダヤ的(アンチ・セミテック)」ではない。むしろユダヤ人の社会や文化には敬意を払っている。だが、イギリスの最上流階級がユダヤ人財閥と結びつき、ロシア革命後は、ユダヤ人の国際的な金融支配が、イギリスという一国の存立にとっても、ユダヤ人の将来にとっても、非常に危険なものになってきているという認識を持っていた。そして、いまのうちにユダヤ人と融和する道を開かなければならないと言っている。ヒトラーが登場し、政権の座に就く10年も前のことである。出典:祥伝社公式サイト