『中国艶妖譚―『灯草和尚』・新訳『遊仙窟』』土屋英明編訳(徳間文庫)
2005年12月15日初版発行
299頁
目次(収録作品)
灯草和尚 高則誠著
新訳『遊仙窟』 張文成作
作品について
ランプの灯心から出てきた三寸法師。楊家の女たちを籠絡し繰り広げる痴態の数々――本邦初完訳の『灯草和尚』。唐代に書かれ、中国文学史上、性交描写初登場の『遊仙窟』(新訳版)。文献としても貴重な、いずれ劣らぬ、妖しくて艶っぽい逸品二話。
本書裏表紙(カバー)より
口語訳(現代語訳)と注が少しという構成。
『灯草和尚』は、上記の説明のように奇術によって生み出された小さな人形みたいな男が数々性的な行為をするという話。描写は露骨でまるっきりポルノ(エロ本)である。
『遊仙窟』は、ずっと高尚な知識人用の教養のある艶っぽいモチーフのある話。
筆者は、『遊仙窟』が『万葉集』や『竹取物語』その他の日本の文学作品に影響を与えたというのに興味を持ち本書を手にしたのだが、本書は口語訳と少ない注だけなので作品が理解できない。
『遊仙窟』は、詩をやり取りしつつ物語が進み、その詩のそこここに性的な隠喩が散りばめられているのだが、詳しい注や解説がないとまったく分からない。やはり、こういう作品は書き下し文としっかりとした注がなけらばならない。