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『社会理論と社会構造』ロバート・K・マートン(みすず書房)

『社会理論と社会構造』ロバート・K・マートン、森東吾・森好夫・金沢実・中島竜太郎訳(みすず書房)

1961年
616頁




目次(収録作品)

序論
第一節 社会理論と社会調査の統合
第二節 社会学理論の系統的整理

第一部 社会学理論
I 顕在的機能と潜在的機能――社会学における機能分析の系統的整理のために
第一節 機能分析の語彙
第二節 機能分析において一般に用いられている公準
第三節 イデオロギーとしての機能分析
第四節 手続の論理
第五節 社会学における機能分析の範例
第六節 機能分析の適用される項目
第七節 顕在的機能と潜在的機能
結語
文献補遺
II 社会学理論の経験的調査に対する意義
第一節 方法論
第二節 一般的な社会学的方針
第三節 社会学的概念の分析
第四節 社会学上の事後解釈
第五節 社会学における経験的一般化
第六節 社会学理論
第七節 形成的導出と系統的整理
III 経験的調査の社会学理論に対する意義――調査の理論的機能
第一節 掘出し型
第二節 理論の作り直し
第三節 理論的焦点の転換
第四節 概念の明確化

第二部 社会的文化的構造の諸研究
序説
IV 社会構造とアノミー
第一節 文化的目標の型式と制度的規範
第二節 個人的適応様式の類型論
第三節 アノミーへの傾向
第四節 家族の役割
結語
V 社会構造とアノミー(続き)
第一節 アノミーの拡大概念
第二節 アノミーの標識
第三節 アメリカ文化における成功のテーマ
第四節 成功価値の同化における種々相
第五節 アノミーと逸脱的行動の諸形式
第六節 社会構造の変化と逸脱的行動
VI ビューロクラシーの構造とパースナリティ
第一節 ビューロクラシーの構造
第二節 ビューロクラシーの逆機能
第三節 同調過剰の構造的源泉
第四節 第一次的関係対第二次的関係
第五節 研究を要する諸問題
VII 公的ビューロクラシーにおける知識人の役割
第一節 職業類型としての知識人
第二節 知識人の地位と社会政策
第三節 ビューロクラシーに所属する知識人と所属しない知識人
第四節 公的ビューロクラシーによる知識人の補充
第五節 ビューロクラシー内の地位と視界
第六節 政策決定者と知識人
第七節 ビューロクラシーに所属している知識人の欲求不満
VIII 準拠集団行動の理論
第一節 相対的不満の概念
第二節 相対的不満か相対的不満か
第三節 準拠集団としての所属集団
第四節 複数の準拠集団
第五節 準拠集団論に由来する行動の斉一性
第六節 社会構造の統計的指標
第七節 準拠集団論と社会移動
第八節 心理的機能と社会的機能
第九節 準拠集団論の類縁概念
IX 準拠集団と社会構造の理論(つづき)――準拠集団理論の問題提出
第一節 基礎的概念
第二節 準拠集団の選択―その決定要因
第三節 準拠集団行動―その構造的要素
第四節 準拠集団行動の諸結果
X 影響の型式――ローカルな影響者とコスモポリタンな影響者
第一節 応用調査から理論的調査への転換
第二節 影響者の型―ローカル型とコスモポリタン型
第三節 社会関係の構造
第四節 対人的影響の通路
第五節 行為における社会的地位―対人的影響
第六節 影響者のコミュニケーション行動
第七節 相互的評価の型式
第八節 影響者と被影響者
第九節 単形的及び多形的な影響領域
第十節 補論 対人的影響の暫定的概念
XI 予言の自己成就
第一節 トーマスの公理
第二節 社会学的寓話
第三節 社会的信念と社会的現実
第四節 内集団の美徳と外集団の悪性
第五節 社会的機能と逆機能
第六節 計画的な制度の変革

第三部 知識社会学とマス・コミュニケーション
序説
知識社会学とマス・コミュニケーション研究の比較
XII 知識社会学
第一節 社会的脈絡
第二節 知識社会学の範例
第三節 存在基盤
第四節 知識の諸類型
第五節 知識と存在基盤の関係
第六節 存在に制約された知識の機能
第七節 今後の問題と最近の研究
XIII カール・マンハイムと知識社会学
第一節 理論上の先行者
第二節 イデオロギー論
第三節 実質的定理
第四節 知識の諸類型
第五節 知識と社会のつながり
第六節 相対主義
XIV ラジオと映画による宣伝の研究
第一節 宣伝分析の様式
第二節 内容分析
第三節 反応分析
第四節 技術上の宣伝または事実宣伝

第四部 科学の社会学
序論
XV 科学と社会秩序
第一節 科学に対する敵意の源泉
第二節 科学の自律性に加わる社会的圧力
第三節 純粋科学の諸規範の機能
第四節 通俗的神秘主義としての秘義的な科学
第五節 系統的な懐疑主義に対する公衆の敵意
第六節 結語
XVI 科学と民主的社会構造
第一節 科学と社会
第二節 科学のエトス
第三節 公有性
第四節 利害の超越
第五節 系統的懐疑主義
XVII 機械と労働者と技術者
第一節 技術の変化に伴う社会的諸結果
第二節 技術者に対する意味あい
第三節 社会調査の必要
XVIII 清教主義・敬虔主義と科学
第一節 清教主義のエトス
第二節 清教主義の科学に対する刺戟
第三節 科学教育に及ぼした清教徒の影響
第四節 清教主義と科学の価値統合
第五節 敬虔主義と科学の価値統合
第六節 科学者の宗教関係
文献補遺
XIX 十七世紀のイギリスの科学と経済
第一節 問題の定式化
第二節 輸送と科学
第三節 一例――経度の問題
第四節 航海と科学
第五節 経済的影響の範囲

訳者あとがき
著作目録
人名索引・事項索引

T・パースンズとならんでアメリカ社会学理論の最高峰に立つ著者の主著である。
第一部の「社会理論」では、従来社会学界で見られた〈無計画な経験主義〉的傾向をもつ社会調査と、他方における壮大な、しかし検証不能な抽象的一般理論を批判しながら、〈中範囲Middle rangeの理論〉の必要を提示して、社会理論と社会調査の綜合を構想する。しかも著者は、その分析の範例を提示しているのである。またここでは併せて、社会学・社会人類学・社会心理学の関係も明示され、研究者に有益な示唆を与えよう。
第二部では現代社会の典型事例である、アノミー・官僚機構・準拠集団・パーソナル・インフルエンスなどの分析を試み、デュルケム、ウェーバーらの遺産を継承しつつ〈知識における累積〉のみごとな実例を示す。第三部「知識社会学とマスコミュニケーション」第四部「科学の社会学」はともに社会とイデオロギーの関係を扱い、〈思想の経験的分析〉の道を拓いた。
豊かな知識、構想の巧みさ、鋭い観察――本書は読者の思考にimaginationとcreationの刺戟を与えずにはいないだろう。

出典:みすず書房公式サイト

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