『小説のしくみ―近代文学の「語り」と物語分析』菅原克也(東京大学出版会)
2017年
432頁
目次(収録作品)
第一章 テクストの相
1 三つの相――物語内容、物語言説、物語行為/2 太宰治「浦島さん」/3 物語内容とは何か/4 物語行為/5 語りに仕組まれる読みの方向/6 読みの方向と物語内容
第二章 語り手と語りの場
1 語り手という存在/2 語り手の姿――読者と向きあう語り手/3 語り手と物語世界/4 語りの階位/5 枠物語――外枠の物語と埋め込まれた物語/6 物語を作る語り手――永井荷風『墨東奇譚』/7 聞き手と向き合う語り手
第三章 語りの視点
1 心の中を語ること/2 焦点化――誰が知覚し、誰が語るのか/3 焦点化概念の変容/4 黒澤明『羅生門』と芥川龍之介「藪の中」の語り/5 芥川龍之介「偸盗」の語り
第四章 テクストの声
1 テクストから聞こえる声/2 森鴎外「山椒大夫」における話法の処理
第五章 語りと時間
1 小説の中の時間/2 順序/3 持続/4 頻度
終章
テクストと向き合う読者――「読者」の二つの意味/分析の対象としての語り/物語論の限界――テクストの外へ
語ることで立ち現れる虚構の世界.語り手が担う「語り」のしくみを解きあかすことで,小説の物語はより深くより豊かなものとなる.小説を読むとはどのようなことか.語る行為,読むという行為を問いなおす,物語論と日本近代文学との出会い.
出典:東京大学出版会公式サイト