1999年
411頁
子ども向けの人生訓話として世界中の人々になじみ深いイソップの動物寓話――実は、歴史上の人物としてのイソップ(アイソーポス)が作ったと実証できる話はひとつもない、いわば「イソップ風」寓話集であるが、そこには、読み手の立場によってさまざまな解釈が可能な、実に奥深い世界が展開されている。新訳471篇を収録。
本書表紙(カバー)より
イソップ寓話は、子供向けとされるが、人間や社会を知った大人こそが玩味できる古典である。皮肉、危機意識、裏切り、詭弁、誠実性、道徳、浅薄さ、軽率、その他いろいろな教訓的な寓話は、人間や社会を洞察したもので興味深い。
本書は、ペリー版校訂本『アエソピカ』からギリシア語の寓話471話が完訳されている。
『イソップ寓話集』山本光雄訳(岩波文庫)や『新訳 イソップ寓話集』(中公文庫)には、収められていない話も本書にはある。(上記二冊は、シャンブリ版の訳)
巻末には、シャンブリ版、ハルム版、ハウスラート版、伊曽保物語、ラ・フォンテーヌその他との対照表と寓話の元になった古典が掲げられているのもすばらしい。
おすすめの良書。