『空と無我―仏教の言語観』定方晟(さだかた・あきら)(講談社現代新書997)
1990年5月20日初版発行
203頁
著者は仏教学者。
ウパニシャッド哲学のアートマン思想を説明し自我を論じ、無我、輪廻の説明。
それから、「説一切有部」について触れてから、空(くう)の思想を論じる。
第6章・7章・8章が本書のメインで、ナーガールジュナ(龍樹)の『中論』を解説し、論じている。
第9章は、唯識思想の概説と批判。
新書だが質の高い内容がまとまめられている。良書。
空の思想に興味がある人には、おすすめの一書。教養としては、この一冊で十分である。(さらに学びたい人は、『龍樹』中村元、『中論』三枝充悳、などにあたるとよい。)
また、仏教、哲学、言語学、言葉について興味がある人にもおすすめである。