『マルクスに凭れて六十年―自嘲生涯記』(革命のアルケオロジー9)岡崎次郎(航思社)
増補改訂新版2023年
400頁
定価:3,960円(税込)
目次(収録作品)
第Ⅰ部 戦前・戦中篇
第ⅰ章 ごく簡単な履歴書
第ⅱ章 第一高等学校文科甲類――『社会問題研究』とマルクス勉強
第ⅲ章 東京帝国大学文学部
第ⅳ章 東京帝国大学経済学部
第ⅴ章 不屈の闘士西田信春のこと――京洛遊蕩・向坂逸郎との出会い・保谷村閑居
第ⅵ章 東亜経済調査局――官製人民戦線事件 入牢一年
第ⅶ章 満鉄調査部
第ⅷ章 北京 敗戦から引揚げまで
第Ⅱ部 戦後篇
第ⅰ章 『資本論』との再会
第ⅱ章 九州大学まで
第ⅲ章 九州大学教養部――社会主義協会草創のころ
第ⅳ章 九州大学から法政大学へ
第ⅴ章 『資本論辞典』(青木書店版)
第ⅵ章 法政大学経済学部
第ⅶ章 『マルクス=エンゲルス全集』(大月書店版)
第ⅷ章 『資本論』新訳(大月書店版)
第ⅸ章 『剰余価値学説史』(大月書店版)
第ⅹ章 マルクス=エンゲルス書簡集
第ⅺ章 『現代マルクス=レーニン主義事典』
第ⅻ章 マルクスから学んだもの
第xⅲ章 マルクスとの別れ
追録 若き日の奇友 池正と祐平のこと
新版補遺
牝馬と口笛――マルクス=エンゲルスの手紙
乱世の雲水・西行
解説
死が作品になりえたころ 市田良彦
老マルクス研究者の遺言
「日本中で唯一人マルクス主義に殉じた」(呉智英)、「老人の美しい死」(朝倉喬司)――自裁をほのめかして結語する本書の出版と、その翌年、79歳の著者が、車椅子の86歳の妻と連れだって自ら行方を絶ったことを受けて後年、2人の評論家はこのように評した。しかし、本書を一読すれば、悲劇的なニュアンスは皆無といっていい。
描かれるのは、人民戦線事件、満鉄調査部、『資本論』出版の舞台裏(いわゆる「暴露」)といった戦前・戦中・戦後にわたるマルクス研究のあり方や左派系の出版状況など。「プロレタリアート独裁と暴力革命とに死ぬまで固執」しながら生きた自らの人生を、ペーソスとユーモアに溢れる文体で、飄々と振り返る。
1983年の青土社版に、単行本未収録原稿を追補。旧版から40年、待望の復刊。アマゾン商品説明より