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「日本のこころ」中谷宇吉郎

約21枚(400字)

回想と含蓄に富む随筆(エッセー)。中々おすすめ。

 敗戦後、外地におけるかつての軍人たちの非行をあばき立てて、日本人の劣等性をいい気持そうに振れ廻っていた人たちが、終戦後はかなりあったようである。しかし日本人も、決してそういう悪い点だけをもっている人種ではない。唯この二、三十年来、日本人は付け焼刃の西洋文明を、自分らの特質と思いちがえていたようである。我が国の科学は、もう世界の水準に達したとか、潜水艦は世界第一だとか威張っていたのもその一つのあらわれであろう。そういう西洋の物質文明をすぐ真似得たことを、民族の優秀性を示すものと思いこんでいた。しかしそういうことは、子供が父親の煙草を失敬して、得意そうにふかしているのと、あまりちがわないことである。ということが、この頃になって、やっと分って来た。


『中谷宇吉郎随筆集』(岩波文庫)に収録されている。

中谷宇吉郎作品リスト (青空文庫)

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