『現代民話考』(全12巻)松谷みよ子(ちくま文庫)
『現代民話考1 河童・天狗・神かくし』
2003年
481頁
目次(収録作品)
第1章 河童(河童にあう/河童婿入/河童のお産 ほか)
第2章 天狗(天狗のお囃子や笑いなど/天狗のいたずらやお客など/天狗に力などをもらう、弟子など ほか)
第3章 神かくし(天狗による神かくし/山の神などによる神かくし/何ものとも知れぬ神かくし ほか)
時代を超え、地域を越えて、いのちある限り、唇に言葉がある限り、現代の民話はふつふつと生まれている。全国各地に伝わる現代の民話を、テーマ別に編んだ、好評のシリーズ(全12巻)決定版。文庫化にあたって、各巻に、新たな聞き書を収めた。世にも不思議な話ばかり。現代の「遠野物語」を求めてやまない第一人者による、画期的な仕事の集大成。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考2 軍隊・徴兵検査・新兵のころ』
2003年
472頁
1 徴兵検査・応召など/2 新兵のころ/3 上官と兵隊たち/4 軍隊は要領/5 戦地にて/6 戦争の残虐・悲惨/7 敗戦前後/8 収容所の話/9 戦犯/10 軍隊生活の怪談/11 守護/12 色っぽい話/13 つくられた軍神・生きていた兵隊
「このことは、今日はじめてあなたに語るのです」生死のさかいをくぐりぬけた人びとによる、全国から集まった証言集。嵐を巻き起こす死者の怨念。人肉や土を食う話。長いこと心の底に沈めていた鬼気迫る話のかずかず。巨大な軍隊・戦争そのものの姿かたちが、歴史の闇から、くっきりと浮かびあがる。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考3 偽汽車・船・自動車の笑いと怪談』
2003年
444頁
第1章 偽汽車(狸や狐、汽車に化けて衝突…/狸のチョウチン列車/汽車の音をまねる狸など ほか)
第2章 船の笑いと怪談(船幽霊/亡霊/幽霊船 ほか)
第3章 自動車、列車などの笑いと怪談(幽霊/精霊や妖怪・動物など/笑い)
タヌキやキツネが汽車に化けて衝突したり、ひき殺されたり。海で死んだ死者が船に手を伸ばしたり……。乗り物にまつわる奇々怪々の証言集。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』
2003年
446頁
第1章 夢の知らせ(未来のできごとを予知する夢/夢による死の知らせ/電話がわりの夢知らせ ほか)
第2章 火の玉(死ぬ前に出た火の玉/死んだ時出た火の玉/死んだあとに出た火の玉)
第3章 ぬけ出した魂(魂が抜ける人/ぬけ出してあそぶ魂/火の玉となって ほか)
ただ不思議としか言いようがない。夢による死のサイン。死ぬ前に出歩く魂や、火の玉の話。全国各地に似た話がいっぱい。遠いはるかな昔から、夢は、ひとりひとりを異次元世界へ連れていく橋のようなものだった。時間・空間の枠を超え、人間の神秘と深遠を告げる一冊。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考5 死の知らせ・あの世へ行った話』
2003年
540頁
第1章 あの世へ行った話(あの世への道/川や花野などにでる/極楽/地獄/あの世からの迎え/あの世へ連れて行く/あの世で守る/生き返った話/あの世の存在)
第2章 死の話(死の知らせ/寺へ来る死者/死の予知・予告/戦死を告げに帰った兵隊たち/うらみ/死者からのサイン/死者からの贈り物/死んだあと姿を見せる/蝶や虫になって/幽霊)
第3章 生まれかわり(足のうら・手のひらなどに字/生まれかわりさまざま/生まれかわってたたる/前世の記憶/牛や馬など)
死んだ自分を見た人の話。自分の戦死を告げに家族の元へきた兵士の話。花野に出たり、死者に手招きされたり、生き返った人たちの話のかずかず。人間ばかりでなく、牛や馬の生まれ変わりまで! 神秘に満ちた語りの深奥に日本人の、人類の、未知の部分が、かいま見える。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考6 銃後・思想弾圧・空襲・沖縄戦』
2003年
520頁
第1章 思想弾圧・禁止/第2章 銃後のくらし/第3章 女たちの苦労/第4章 食糧難/第5章 空襲/第6章 原爆/第7章 沖縄戦/第8章 敗戦のころ/第9章 引揚げ/第10章 夢・死の知らせ・祈り/第11章 鳥の声・涙川・爆弾池
女も子供も、機銃掃射は容赦しなかった。撃ってくる米兵の顔をまざまざと見たという証言。未曾有の空襲の実態。広島・長崎の原爆投下。酸鼻を極めた沖縄。食糧難、配給、隣組、引揚げにまつわる話…。銃後のくらしがくっきりと浮かびあがり、庶民の心がほとばしる。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考7 学校・笑いと怪談・学童疎開』
2003年
475頁
第1章 笑いと怪談(笑いと怪談考/怪談/笑い)
第2章 子どもたちの銃後(子どもたちの銃後考/先生たち/学徒動員/学徒出陣/学童疎開/戦時下の学校が)
古今東西、学校という空間がいかに妖怪たちに愛されたか。幽霊は言うに及ばず、座敷わらしから河童、のっぺらぼう、一つ目、こっくりさんまで。また、天井が降りてくる、血が滴る、階段が減る増える、人形が歩く、突然ピアノが鳴り出す等、学校の怪談集大成。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考8 ラジオ・テレビ局の笑いと怪談』
2003年
442頁
第1章 ラジオ・テレビ局の笑い(放送ことはじめ/戦時下の放送/敗戦/テレビはじまる/アナウンサーやディレクターの笑い ほか)
第2章 ラジオ・テレビ局の怪談(スタジオにて/幽霊と番組/ロケ先の怪/ラジオの怪/局内で ほか)
宿直で入浴中に空襲となり、「裸で失礼します。空襲警報発令」と放送してしまったアナウンサー。ラジオ・テレビ局には、この手の伝説がいっぱい。抱腹絶倒の裏話や怪談、戦時の悲劇的な虚報など。放送の送り手と受け手の見聞記録や証言のなかに、人間の営みのおかしさ、不思議さが伝わる証言集。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考9 木霊・蛇・木の精霊・戦争と木』
2003年
453頁
第1章 木霊(木霊考/木の精霊/木が死ぬ・木に守られる・木を守る/戦争と木/暮しのなかの木)
第2章 蛇(蛇考)
斧をあてたとたん、伐ろうとした木が震え出し、ざわめいた話。木の精霊の凄まじいまでの怒り。大地の精霊である蛇―あるときはたたりを、またあるときは福運をもたらす。古くから伝わる蛇聟や蛇女房の話。木と蛇の霊性・信仰・祖神性を全国各地から集める巻。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考10 狼・山犬・猫』
2004年
438頁
第1章 狼・山犬(狼・山犬考/狼や山犬へのおそれと親しみ/おそろしい狼/狼のくらし/狼神)
第2章 猫(猫考/猫の怪/猫の笑い/猫さまざま)
全国各地からの、狼・山犬、そして猫にまつわる、奇怪と恐怖と笑いに満ちた報告。のどにささった骨をとってもらったお礼に、鹿の後足を一本持ってきた狼の話。信仰の対象になった神秘的な狼。猫に魅入られる。憑かれる。たたられる。化け猫たち。猫の会議。ふしぎな話ばかり。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考11 狸・むじな』
2004年
424頁
狸・むじなの火/腹つづみや踊り場/狸・むじなの音まね/狸・むじなのいたずら/妖怪やら何やらに化ける/人に化ける/女に化ける/化かされて/狸・むじなの仕返しやたたり/狸・むじなの人助け〔ほか〕
化けたり、化かしたり。いたずらばかりか、人助けもする、狸やむじな達。何とも愛らしく素朴な話がいっぱい。
出典:筑摩書房公式サイト
『現代民話考12 写真の怪・文明開化』
2004年
435頁
第1章 写真の怪(人が写る/顔が写る、手が写る/けものが写る/ものが写る/光が写る ほか)
第2章 文明開化(御一新の頃/電信・電話・郵便・電報/汽車・電車など乗りものの話/世相さまざま/電気 ほか)
出来てきた写真に、死んだはずの子供が写っている。知見らぬ人も、手も、首も…。写真というごく日常の世界からかいま見る非日常の数々。電気が点り、汽車が走り、ラジオが鳴り出す。一挙に近代化への道を歩み始めた明治の一時期。庶民が味わった驚きと動揺、悲喜こもごも。
出典:筑摩書房公式サイト