昭和48年(1973)8月10日初版発行
236頁
初出は『婦人公論』の別冊付録(昭和34年(1959))
文学・文章の変遷、三島による様々な作家の文章の分析が興味深く、ためになる本である。
また、なにより本書の三島の文章自体が優れている。ですます調で書かれた端正な文章で、約60年の時を経ているのに古びていない。今もこの手の文章のお手本と言ってよい。
引用されている古典や文語文などには、口語訳がないのでそこは難儀する人もいるかもしれない。ただ、その部分をとばして読んでも、得るものは十分あるだろう。
良書である。著者の小説が好きでなくとも本書は教養の書としても読む価値が高い。
三島には同分類の著作に『作家論』(中公文庫)があるが、これは各々の作家の文学全集の解説をまとめたものである。
[関連]
『文章読本』三島由紀夫(1959・中央公論社)単行本
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『文章読本 新装版』三島由紀夫(2020・中公文庫)256頁