2003年3月20日第1刷発行
214頁
定価:690円(税別)
目次(収録作品)
第1章 聖地モロタイ島
第2章 元空軍中尉スパルディ
第3章 待っていた悲劇
第4章 血書したため志願兵に
第5章 インドネシアの激戦地で
第6章 逃亡兵の汚名
第7章 霧社事件とその後の人々
第8章 日章旗はためく慰霊碑
本書の刊行によせて 李登輝
日本人として教育され、日本人ではないと捨てられた人々
敗戦の約30年後ジャングルで発見された中村一等兵を、高砂族ゆえに日本は日本人とは認めなかった。昭和四十九年暮れ、インドネシアのジャングルで元日本兵が発見された。敗戦も知らず孤独に生き抜き約三十年ぶりに帰還したこの元一等兵中村輝夫は、しかし日本国からは日本人とは認められなかった。彼は台湾の高砂族だったのだ――。戦前、植民地下の台湾人は中村のように日本人として教育され、日本兵として出征した。日本語でものを考え自分は日本人だとする中村は、その後どうしたか。今、高砂族の人々は日本にどんな想いを抱いているか。丹念な取材で綴る忘れ去られた現代史。
出典:文藝春秋BOOKS
著者は産経新聞の記者。
本書は、先の大戦で高砂義勇隊の一人として従軍し、戦後もジャングルに約30年間潜伏し、昭和49年(1974)に発見・救出された元日本兵・中村輝夫(スニヨン)について取材したもの。
当時、中村の保護に関わった人々、彼の妻・息子、当時中村と同様に志願兵として戦った人々等々、多くのひとびとを取材している。
中村輝夫について書かれたものは、少なく貴重な仕事と言える。
中村や高砂義勇隊や台湾に興味がある人には、おすすめの一書。
[参考]
『スニヨンの一生』佐藤愛子(1987・文春文庫)
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