2004年12月8日第1版第1刷発行
187頁
定価:1,430円(税込)
目次(収録作品)
第1章 アジアの夜
第2章 繭のなか
第3章 仏教と儒教
第4章 内からの声
第5章 白禍
第6章 幕閣と大奥
第7章 過渡期
第8章 維新と改革
第9章 再生
第10章 日本と平和
解説 先駆者、岡倉天心
解説者あとがき
著者は、美術指導者・思想家ほか。(1863-1913)
『The Awakening of Japan』の書名で、欧米に向け日本の歴史や精神を英文で論じた本。
日本史の知識を前提としている所が、そこここに散見される。日本人でも勉強してない人には分らない部分があり、当時の欧米の知識層でも読み取れない部分が多かったはずである。
「まえがき」の逸話が面白い(下記)。
この早い時期に、近代文明の「負」を指摘しているのは具眼。
第5章白禍、第10章日本と平和が、興味深く有益。
(本書)まえがき
明治37年(1904)、ニューヨークに渡った天心の前に、アメリカ人の青年数人が近づき、「Which nese are you, Japanese or Chinese?(お前はどっちのニーズか、ジャパニーズかチャイニーズか)」と無遠慮に問いかけました。それに対して天心は、穏やかに、しかし即座にこう切り返しました。「Which kee are you, Yankee, Monkey or Donkey?(そういうあなたがたこそ、どんなキーですか。ヤンキーですか、モンキーですか、それともドンキーですか)」そして、そのまま歩き去ったそうです。
(※ウィキペデアにあるのは少し違う)
What sort of nese are you people? Are you Chinese, or Japanese, or Javanese?(おまえたちは何ニーズ? チャイニーズ、ジャパニーズ、それともジャワニーズ?)
We are Japanese gentlemen. But what kind of key are you? Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?
(我々は日本の紳士だ、あんたこそ何キーか? ヤンキーか、ドンキーか、それとも、モンキーか?)
(Wikipedia)
p.78近代文明という偉大な機構の構成員である個人は、機械的に流れる慣習の奴隷となり、自らが作りだした怪物に容赦なく支配されることになる。西洋ご自慢の自由があるにもかかわらず、富を競い合って個性は損なわれる。幸福や満足をつねに渇望するあまりに、それを得られないでいるのだ。
また西洋は中世の迷信から解放されたことを誇っているが、富という偶像崇拝にとってかわられただけのことではないのか。現代的なすばらしい仮面をつけたその奥にはどんな苦悩と不満が隠されているのか。
[関連]『岡倉天心コレクション』(2012・ちくま学芸文庫)
