志向性の議論領域
古典的計算主義
(認知過程とは、心的表象の構文論的構造に基づく形式的な変形過程(狭い意味での「計算」)であるという考え方(コンピュータをモデルにした認知観))
『ビジョン―視覚の計算理論と脳内表現』D・マー(1987・産業図書)
『認知科学の計算理論』Z・W・ピリシン(1988・産業図書)
『ものと場所―心は世界とどう結びついているか』Z・W・ピリシン、小口峰樹訳(2012・勁草書房)
サールと「中国語の部屋」の議論
(古典的計算主義に対する批判(認知過程は記号の形式的な変形過程ではないという議論))
『志向性―心の哲学』J・R・サール(1997・誠信書房)
『心・脳・科学』J・R・サール(2015・岩波書店)
外在主義の議論
(心的状態の表象内容は、主体の内在的なあり方(特に脳状態)によっては決まらず、主体の周囲の環境のあり方によって決まるという議論)
『理性・真理・歴史―内在的実在論の展開』H・パトナム(1994・法政大学出版局)
目的論的機能主義
(心的状態の志向性は、生物の進化の過程で選択されてきた目的論的機能によって説明されるという考え方)
『意味と目的の世界―生物学の哲学から』R・G・ミリカン(2007・勁草書房)
『行動を説明する―因果の世界における理由』F・ドレツキ(2005・勁草書房)
コネクショニズム
(認知過程とは、構文論的構造を持たない分散表象の非形式的な変形過程であるという考え方(脳の神経ネットワークをモデルにした認知観))
『PDPモデル―認知科学とニューロン回路網の探索』D・E・ラメルハート、J・L・マクレランドほか(1989・産業図書)
『認知哲学―脳科学から心の哲学へ』P・M・チャーチランド(1997・産業図書)amazon
『ブレイン・ワイズ―脳に映る哲学』P・S・チャーチランド(2005・創造出版)
『心の科学と哲学―コネクショニズムの可能性』戸田山和久、服部裕幸ほか編(2003・昭和堂)
折衷的表象主義
(認知には、表象の変形過程として理解される必要のないものと、表象の変形過程として理解されるべきものの両方があるという考え方)
『認知の微視的構造―哲学、認知科学、PDPモデル』A・クラーク(1997・産業図書)
ハイデガー的認知観
(認知過程とは、「世界内存在」である身体的主体と環境との間の、明示的な表象を介さない技能的な相互作用であるという考え方)
『コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判』H・L・ドレイファス(1992・産業図書)定価:4,730円(税込)
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エナクティブアプローチ(オートポイエーシス)
(認知過程とは、主体から独立の外部世界の表象を処理する過程ではなく、身体化された活動(エナクション)であるという考え方)
『身体化された心―仏教思想からのエナクティブ・アプローチ』F・J・ヴァレラ、E・トンプソンほか(2001・工作舎)
『オートポイエーシス―生命システムとは何か』H・R・マトゥラーナ、F・J・ヴァレラ(1991・国文社)定価:3,300円(税込)
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生態学的アプローチ
(認知過程とは、環境の中から行為を導く情報(アフォーダンス)を手に入れる過程であり、認知にとって脳内の表象処理は不要だという考え方)
『生態学的視覚論―ヒトの知覚世界を探る』J・J・ギブソン(1986・サイエンス社)
『直接知覚論の根拠―ギブソン心理学論集』J・J・ギブソン(2004・勁草書房)
『環境に拡がる心―生態学的哲学の展望』河野哲也(2005・勁草書房)
『エコロジカルな心の哲学―ギブソンの実在論から』河野哲也(2003・勁草書房)
※勁草書房「心の哲学ブックガイド」を参考に作成。
・心の哲学 ブックガイド 入門・初級篇
・心の哲学 ブックガイド クオリアの議論領域
なお下記のサイトが「心の哲学」を学ぶのに非常に有用である。
心の哲学まとめWiki