『世論』(上下)W・リップマン、掛川トミ子訳(岩波文庫)
上巻
1987年
270頁
目次(収録作品)
第1部 序
第1章 外界と頭の中で描く世界
第2部 外界への接近
第2章 検閲とプライヴァシー
第3章 接触と機会
第4章 時間と注意力
第5章 スピード、言葉、明確さ
第3部 ステレオタイプ
第6章 ステレオタイプ
第7章 防御手段としてのステレオタイプ
第8章 盲点とその効用
第9章 規範とその敵
第10章 ステレオタイプの検出
第4部 さまざまの関心
第11章 利害関心の参入
第12章 利己主義を見直す
下巻
1987年
306頁
第5部 共通意志の形成
第13章 利害関心の移行
第14章 「イエス」か「ノー」か
第15章 指導者たちと一般大衆
第6部 民主主義のイメージ
第16章 自己中心的人間
第17章 自己充足したコミュニティ
第18章 力、官職任命権、特権の役割
第19章 装いだけをあらためた古いイメージ―ギルド社会主義
第20章 新しいイメージ
第7部 新聞
第21章 一般消費者
第22章 定期購読者
第23章 ニュースの本質
リップマン(1889‐1974)が『世論』を書いた動機は、第1次大戦後の混乱の原因究明にあった(1922年刊)。にも拘らず我々がこの書を手にすると、あたかも現在を分析し警告を発しているかのような切迫感を覚える。それは、大衆心理がいかに形成されるかを出発点として、人間と環境の基本的な関係を、イメージの概念から明晰に解いているからだ。
リップマン(1889‐1974)の仕事は、ニュースが一つの事件を合図するするに過ぎぬ、という認識から始まった。隠されている諸事実に光をあて相互に関連づけ、人々がそれに基づいて行動できるよう現実の姿を描き出すこと。この過程においてニュースの機能と真実の機能が合致するとした彼の考えは、生涯を通じてジャーナリズム活動の揺るがぬ基準となる。
本書表紙(カバー)より
原題『Public opinion』
[参考]
『幻の公衆』ウォルター・リップマン(2007・柏書房)