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『分析心理学セミナー 1925年、チューリッヒ』ユング(みすず書房)

『分析心理学セミナー 1925年、チューリッヒ』カール・グスタフ・ユング、ソヌ・シャムダサーニ編、ウィリアム・マガイアー編、横山博 監訳、大塚紳一郎・河合麻衣子・小林泰斗訳(みすず書房)

2019年
296頁



目次(収録作品)

2012年 フィレモン・シリーズ版への序文(ソヌ・シャムダサーニ)
序論(ソヌ・シャムダサーニ)
1989年版の序論(ウィリアム・マガイアー)
謝辞(ウィリアム・マガイアー)
前書き
第1回 1925年3月23日 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回

解題(大塚紳一郎)
訳者あとがき

文献索引(年代順)
夢・ファンタジー・ヴィジョン索引
事例索引
索引

本書は1925年のチューリッヒにおいて、ユング心理学がまさに産声をあげたセミナーの記録である。
フロイトとの交流と決別、その後に訪れた心の危機、そして〈無意識との対決〉から超越機能へ――。『赤の書』のもととなった自己実験に取り組んだ後のユングによる赤裸々な語りは、『ユング自伝』の素描となった心理療法家の人生の記録であり、心をめぐるひとつの思想の誕生でもあった。
無意識という心の深みへと降りていくことは、われわれにとってどのような経験なのか? そして、ユングはいかにしてそれを可能にしたのか? 広大な思想の最良の手引きと呼ぶべき、ユング心理学誕生のドキュメンタリ。

出典:みすず書房公式サイト


[関連]
『分析心理学セミナー1925―ユング心理学のはじまり』C・G・ユング、 ソヌ・シャムダサーニ編、ウィリアム・マクガイア編、河合俊雄 監訳、猪股剛・小木曽由佳・宮澤淳滋・鹿野友章訳(2019・創元社)

2019年
320頁




目次(収録作品)

監訳者による日本語版へのまえがき………河合俊雄
二〇一二年フィレモン・シリーズ版へのまえがき………ソヌ・シャムダサーニ
序文………ソヌ・シャムダサーニ
一九八九年版への序文………ウィリアム・マクガイア
謝辞………ウィリアム・マクガイア
セミナー参加者
まえがき………カリー・F・デ・アングロ
文献略語一覧および凡例
    ———————
第1講 一九二五年三月二三日 第2講 第3講 第4講 第5講 第6講 第7講 第8講 第9講 第10講 第11講 第12講 第13講 第14講 第15講 第16講
第16講
  補遺 
   『洞窟の女王』
   『悪のぶどう園』
   『アトランティード』
———————
  物語概要 『彼女(洞窟の女王)』/『悪のぶどう園/『アトランティード』
注   原注/訳注
解題………猪股剛
巻末資料
・本書でユングが取り上げた事例概要
・夢、ファンタジー、ヴィジョン
・引用や議論のなされているユング著作の年代順目録
・その他の参考文献
・事項索引/人名索引

世界が待ちのぞんだ新しい入門書の登場

 本書は50歳になったばかりのユングが、自らの心理学を分かりやすく人々に語って聞かせたセミナーの記録であり、ユング自らがその口述記録を精査した信頼にたる一次資料でもある。

 セミナー開会の辞として、ユングは「私自身の考えの発展を素描してみたい」と言って語り始めているが、学生時代の心理哲学的思索、精神病患者たちの心に寄り添って苦悩した体験、『赤の書』に記された壮絶なファンタジー体験、心理学とアートの弁証法的関係性への気づきなど、自らの体験を心理学へと結実させていく実践的過程を包み隠さず公開している。
 特に『赤の書』に記されたファンタジーをユングがどのように体験し、それといかに関わり、またそれをどうやって理解していったのかが、詳細かつ克明に記録されている。なぜファンタジーから心理学が生まれてくるのか、心理学の生成とはいかなるものなのか、ここにはその答えがありのままに記されている。

 また、ユングがこれほどアートやアート作品について率直に語り、心理学の対話相手としてアートを取り上げ、アートと心理学の本質的な関係を明示している書物も他に類を見ない。

 さらに言えば、ユングはこのセミナーで、参加者の質問に対して驚くほど丁寧に回答しており、その様子には心理学を教え、次世代を育てようとするユングの臨床的姿勢がありありと表れている。最終講義では、参加者たちに小説の心理学的解釈を課し、彼らの解釈をユングが部分修正しながら、ファンタジーの中に現れる心理学の本質を対話的に明らかにしようとしている。それはまるで心理臨床事例へのスーパーヴィジョンのように作用しており、そこにはユングの分析実践そのものを感じ取ることができる。
 本書には、自伝的・理論的・臨床的ユングがすべて網羅されているのである。

出典:創元社公式サイト

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