『古事記と小泉八雲 日本人の原風景1』 池田雅之・高橋一清編(かまくら春秋社)
2013年3月31日初版発行
227頁
目次(収録作品)
出雲神話と出雲人(藤岡大拙)
私の『古事記』(岡野弘彦)
日本神話とギリシャ神話(阿刀田高)
神話と美術(真住貴子)
生きるよすがとしての神話―ハーンとチェンバレンの『古事記』観(池田雅之)
小泉八雲が歩いた『古事記』の世界(小泉凡)
小泉八雲の愛した神々の国、出雲(牧野陽子)
古代出雲の神話世界―『古事記』と『出雲風土記』(瀧音能之)
古代出雲大社の祭祀と神殿に想う―神話から見えてくるもの(錦田剛志)
小泉八雲と美保神社(横山宏充)
日本の原風景―ほんとうの日本「山陰」(高橋一清)
本書は、早稲田大学オープンカレッジで行われた二つの講座「神々の国の首都・松江と小泉八雲」(2010)と「『古事記』と小泉八雲から日本の原風景をたどる」(2012)を書籍としてまとめたもの。
書名の通り八雲と古事記との考察を期待したが、あまりその点は論じられてなく筆者には期待外れだった。「日本人の原風景」とのシリーズ名が冠されているが、それも名が体を表していない。
上述の点を差し引いても、あまり有益とはいいがたい本である。一篇一篇は短く、全体的に内容が薄いというか、ちょっと大げさに言うとイントロダクションで終わっているような感がある。
はっきりいって、八雲の実作及び『古事記』を読む、再読・再々読した方がよほど有意義である。
[筆者注]
(p.28)「札を失したり」「礼」の間違い。
[参考]
『古事記』(角川ソフィア文庫)