リベラリズム(自由主義)
価値中立的な「正しさ」を信じ、思想や良心などの政治的自由を尊重する。経済的格差を是正するための富の再分配に肯定的。
リベラリズム 入門
『正義』大川正彦(1999・岩波書店)
『正義論/自由論―寛容の時代へ』土屋恵一郎(2002・岩波現代文庫)
『なぜ「自由」は不自由なのか―現代のリベラリズム講義』仲正昌樹(2009・朝日新聞出版)
リベラリズム 概論・各論
『自由と権利―政治哲学論集』ジョセフ・ラズ、森際康友編(新装版2021・勁草書房)
『感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム』マーサ・ヌスバウム、河野哲也監訳(2010・慶応義塾大学出版会)
『中断された正義―「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察』ナンシー・フレイザー、仲正昌樹監訳(2003・御茶の水書房)
『自由主義―福祉国家への思想的転換』L・T・ホブハウス、吉崎祥司監訳(2010・大月書店)
『寛容と自由主義の限界』スーザン・メンダス、谷本光男訳(1997・ナカニシヤ出版)
『共生の作法―会話としての正義』井上達夫(増補新装版2021・勁草書房)
『他者への自由―公共性の哲学としてのリベラリズム』井上達夫(増補新装版2021・勁草書房)
『正義の経済哲学―ロールズとセン』後藤玲子(2002・東洋経済新報)
『リベラリズムの再生―可謬主義による政治理論』施光恒(2003・慶応義塾大学出版会)
『リベラリズム/デモクラシー』阪本昌成(2004・有信堂高文社)
『リベラル優生主義と正義』桜井徹(2007・ナカニシヤ出版)
『法の政治学―法と正義とフェミニズム』岡野八代(2002・青土社)
『責任と正義―リベラリズムの居場所』北田暁大(2003・勁草書房)
『産む産まないは女の権利か―フェミニズムとリベラリズム』山根純佳(2004・勁草書房)
『フェミニストの法―二元的ジェンダー構造への挑戦』若林翼(2008・勁草書房)
ロールズ(John Rawls, 1921-2002)
思想や良心などの基本的自由の平等と経済格差を公正に分配する社会的な平等を説き、現代リベラリズムの基礎を築いたアメリカの政治哲学者。
『正義論』ジョン・ロールズ、川本隆史・福間聡・神島裕子訳(2010・紀伊國屋書店)
『公正としての正義』ジョン・ロールズ、田中成明編訳(1979・木鐸社)
『公正としての正義 再説』ジョン・ロールズ、エリン・ケリー編、田中成明・亀本洋・平井亮輔訳(2020・岩波現代文庫)
『万民の法』ジョン・ロールズ、中山竜一訳(2022・岩波現代文庫)
『ロールズ 哲学史講義 上』ジョン・ロールズ、坂部恵監訳(2005・みすず書房)
『ロールズ 哲学史講義 下』ジョン・ロールズ、坂部恵監訳(2005・みすず書房)
『ロールズ―『正義論』とその批判者たち』チャンドラン・クカサス、フィリップ・ぺティット、山田八千子・嶋津格訳(1996・勁草書房)
『健康格差と正義―公衆衛生に挑むロールズ哲学』ノーマン・ダニエルズ、ブルース・ケネディ、イチロー・カワチ、児玉聡監訳(2008・勁草書房)
『ロールズ―正義の原理』川本隆史(1997・講談社)
『リベラリズムとは何か―ロールズと正義の論理』盛山和夫(2006・勁草書房)
『ロールズのカント的構成主義―理由の倫理学』福間聡(2007・勁草書房)
『ロールズ正義論とその周辺―コミュニタリアニズム、共和主義、ポストモダニズム』渡辺幹雄(2007・春秋社)
『ロールズ正義論再説―その問題と変遷の各論的考察』渡辺幹雄(2012・春秋社)
『倫理の復権―ロ-ルズ・ソクラテス・レヴィナス』岩田靖夫(1994・岩波書店)
『ロールズ 誤解された政治哲学―公共の理性をめざして』堀巌夫(2007・春風社)
『多元的世界の政治哲学―ジョン・ロールズと政治哲学の現代的復権』伊藤恭彦(2003・有斐閣)
『ロールズ哲学の全体像―公正な社会の新しい理念』藤川吉美(1999・成文堂)
『公正としての正義の研究―ロールズの正義概念に対する批判的考察』藤川吉美(1989・成文堂)
『西洋思想の日本的展開―福沢諭吉からジョン・ロールズまで』小泉仰 監修(2002・慶応義塾大学出版会)
セン(Amartya Sen, 1993- )
インドの経済学者。貧困問題に厚生経済学や社会的選択理論を応用し、格差ばかりでなく環境問題や人権、難民問題にも積極的に発言。1998年にノーベル経済学賞受賞。
『不平等の再検討―潜在能力と自由』アマルティア・セン、池本幸生・野上裕生・佐藤仁訳(2018・岩波現代文庫)
『貧困と飢饉』アマルティア・セン、黒崎卓・山崎幸治訳(2017・岩波現代文庫)
『福祉の経済学―財と潜在能力』アマルティア・セン、鈴村興太郎訳(1988・岩波書店)
『アイデンティティと暴力―運命は幻想である』アマルティア・セン、大門毅監訳・東郷えりか訳(2011・勁草書房)
『合理的な愚か者―経済学=倫理学的探究』アマルティア・セン、大庭健・川本隆史訳(1989・勁草書房)
『集合的選択と社会的厚生』アマルティア・セン、志田基与師訳(2000・勁草書房)
『アマルティア・セン講義 グローバリゼーションと人間の安全保障』アマルティア・セン、加藤幹雄訳(2017・ちくま学芸文庫)
『不平等の経済学―ジェームズ・フォスター、アマルティア・センによる補論「四半世紀後の『不平等の経済学』」を含む拡大版』アマルティア・セン、鈴村興太郎・須賀晃一訳(2000・東洋経済新報社)
『経済学の再生―道徳哲学への回帰』アマルティア・セン、徳永澄憲・青山治城・松本保美訳(2002・麗沢大学出版会)
『アイデンティティに先行する理性』アマルティア・セン、細見和志訳(2003・関西学院大学出版会)
『人間の安全保障』アマルティア・セン、東郷えりか訳(2006・集英社新書)
『貧困の克服―アジア発展の鍵は何か』アマルティア・セン、大石りら訳(2002・集英社新書)
『議論好きなインド人―対話と異端の歴史が紡ぐ多文化世界』アマルティア・セン、佐藤宏・粟屋利江訳(2008・明石書店)
『自由と経済開発』アマルティア・セン、石塚雅彦訳(2000・日本経済新聞社)
『クオリティー・オブ・ライフ―豊かさの本質とは』マーサ・ヌスバウム、アマルティア・セン編著、竹友安彦 監修・水谷めぐみ訳(2006・里文出版)
『福祉と正義』アマルティア・セン、後藤玲子訳(2008・東京大学出版会)
『センの正義論―効用と権利の間で』若松良樹(2003・勁草書房)
『アマルティア・センの世界―経済学と開発研究の架橋』絵所秀紀・山崎幸治編著(2004・晃洋書房)
『社会福祉思想の革新―福祉国家・セン・公共哲学』山脇直司(2005・かわさき市民アカデミー出版部)
ローティ(Richard Rorty, 1931-2007)
自由・博愛・平等などの伝統的概念による基礎づけを排除したリベラリズムを擁護。プラグマティズムの流れを汲み、ポストモダンにも与するアメリカの哲学者。
『リベラル・ユートピアという希望』リチャード・ローティ、須藤訓任・渡辺啓真訳(2002・岩波書店)
『偶然性・アイロニー・連帯―リベラル・ユートピアの可能性』リチャード・ローティ、斎藤純一・山岡龍一・大川正彦訳(2000・岩波書店)
『連帯と自由の哲学―二元論の幻想を超えて』リチャード・ローティ、富田恭彦訳(2014・岩波書店)
『新装版 アメリカ未完のプロジェクト―20世紀アメリカにおける左翼思想』リチャード・ローティ、小澤照彦訳(2017・晃洋書房)
『哲学と自然の鏡』リチャード ローティ、野家啓一 監訳、伊藤春樹・須藤訓任・野家伸也・ 柴田正良訳(1993・産業図書)
『脱構築とプラグマティズム― 来たるべき民主主義』シャンタル・ムフ編、ジャック・デリダ、リチャード・ローティ、サイモン・クリッチリ、エルネスト・ラクラウ、青木隆嘉訳(新装版2013・法政大学出版局)
『リチャード・ローティ―1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』大賀祐樹(2009・藤原書店)
『リチャード・ローティ―ポストモダンの魔術師』渡辺幹雄(2012・講談社学術文庫)
『プラグマティズムと教育―デュ-イからロ-ティへ』柳沼良太(2002・八千代出版)
『ロ-ティの教育論―ネオ・プラグマティズムからの提言』柳沼良太(2008・八千代出版)
ドゥオーキン(Ronald Dworkin, 1931-2013)
アメリカの法哲学者。個人の嗜好や能力に焦点をあてた経済的平等を追究。ロールズよりさらに所得の再分配機能を強調する。
『平等とは何か』ロナルド・ドゥオーキン、小林公・大江洋・高橋秀治・高橋文彦訳(2002・木鐸社)
『権利論 増補版』ロナルド・ドゥオーキン、木下毅・小林公・野坂泰司訳(2003・木鐸社)
『自由の法―米国憲法の道徳的解釈』ロナルド・ドゥオーキン、石山文彦訳(1999・木鐸社)
『裁判の正義』ロナルド・ドゥオーキン、宇佐美誠訳(2009・木鐸社)
『法の帝国』ロナルド・ドゥオーキン、小林公訳(1995・未來社)
『ライフズ・ドミニオン―中絶と尊厳死そして個人の自由』ロナルド・ドゥオーキン、水谷英夫・小島妙子訳(1998・信山社出版)
『リベラルな共同体―ドゥオーキンの政治・道徳理論』小泉良幸(2002・勁草書房)
『「正義のフォーラム」の法哲学』旗手俊彦(1991・風行社)
『現代法理論論争―R.ドゥオーキン対法実証主義』深田三徳(2004・ミネルヴァ書房)
コーネル(Drucilla Cornell, 1950- )
現代フェミニズムを代表するアメリカの法哲学者。ドイツやフランスのヨーロッパ大陸系哲学を基礎に現代リベラリズムを批判・検討する。デリダ派の一人とされる。
『正義の根源』ドゥルシラ・コーネル、仲正昌樹監訳(2002・御茶の水書房)
『イマジナリーな領域―中絶、ポルノグラフィ、セクシュアル・ハラスメント』ドゥルシラ・コーネル、仲正昌樹監訳(2006・御茶の水書房)
『限界の哲学』ドゥルシラ・コーネル、仲正昌樹監訳(2007・御茶の水書房)
『脱構築と法 適応の彼方へ』ドゥルシラ・コーネル、仲正昌樹監訳(2003・御茶の水書房)
『女たちの絆』ドゥルシラ・コーネル、岡野八代・牟田和恵訳(2005・みすず書房)
『自由のハートで』ドゥルシラ・コーネル、石岡良治ほか訳(2001・情況出版)
『“理想”を擁護する―戦争・民主主義・政治闘争』ドゥルシラ・コーネル、仲正昌樹監訳(2008・作品社)
バーリン(Isaiah Berlin, 1909-1997)
ロシア生まれの政治哲学者。通約できない複数の価値があるという価値多元主義を説く。自由を他者からの干渉なき「消極的自由」と何かを為しうる「積極的自由」の二つに分けた。
『自由論 新装版』アイザィア・バーリン、小川晃一・福田歓一・小池銈・生松敬三訳(2018・みすず書房)
『北方の博士J.G.ハーマン―近代合理主義批判の先駆』アイザィア・バーリン、奥波一秀訳(1996・みすず書房)
『ある思想史家の回想―アイザィア・バーリンとの対話』アイザィア・バーリン、R・ジャハンベグロー、河合秀和訳(1993・みすず書房)
『アイザイア・バーリン』マイケル・イグナティエフ、石塚雅彦・藤田雄二訳(2004・みすず書房)
『バーリンの政治哲学入門』ジョン・グレイ、河合秀和訳(2009・岩波書店)
『アイザイア・バーリン―多元主義の政治哲学』上森亮(2010・春秋社)
『バーリンの自由論―多元論的リベラリズムの系譜』濱真一郎(2008・勁草書房)
※勁草書房「現代リベラリズムとその周辺ブックガイド」を参考に作成。
・現代リベラリズムとその周辺 ブックガイド 全体像 入門・概論・各論
・現代リベラリズムとその周辺 ブックガイド リバタリアニズム
・現代リベラリズムとその周辺 ブックガイド コミュニタリアニズム